三菱マテリアル、はんだ材開発 半導体に悪影響のα線放出半減

 三菱マテリアルは13日、半導体素子の動作に悪影響を与えるα線放出量を従来品に比べ約50%低減した世界最高レベルのはんだ材料を開発し、10月から量産を開始したと発表した。Sn(錫)―Ag(銀)めっき液、Sn―Ag―Cu(銅)はんだペースト、Sn―Cuはんだペースト、Snアノードといった製品群にラインアップして販売する。

 はんだ材料は、加熱によって球状の粒子(はんだバンプ)となり、ICチップを構成する半導体素子と基板を接合するとともに、その間の電極としても機能している。はんだバンプのもととなるはんだ材料の主成分の一つであるSnには微量の放射性物質が含まれており、この放射性物質から放出されたα線が半導体素子の動作に悪影響を与え、いわゆるソフトエラーを生じさせることがある。このため、より信頼性の高い半導体素子を製造するため、α線量が少ないはんだ材料のニーズも高まっている。

 これに対し同社では、30年以上にわたって蓄積してきたはんだ材料のα線量低減技術や管理技術の開発を進め、従来品のα線量0・002cph(カウント・パー・アワー)/平方センチ以下よりもさらにα線量を低減した同0・001cph/平方センチ以下となる「HULA」グレードのはんだ材料を開発した。

 また、同社は同はんだ材料の開発と並行して、半導体業界のユーザーに提供してきたα線測定受諾サービスについても「HULA」グレードの高度なα線分析評価技術を提供し、はんだ材料ユーザーへのソリューション提供力を高めていく考え。

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