美濃工業、アルミ-マグネ合金製品で車向け拡販狙う 高靱性・熱処理不要などPR

 中部地区大手アルミダイカストメーカー、美濃工業(本社・岐阜県中津川市、社長・杉本潤氏)は、自動車分野へのアルミニウム―マグネシウム(Al―Mg)合金製品の受注拡大を重点に開発を強化する。Al―Mg合金が持つ高靱性、熱処理が不要な高い生産性をアピール。現在量産を進める既存製品に加え、車体部品への採用を通じて生産アイテム数と数量アップを狙う。

 美濃工業は国内4拠点、海外3拠点で自動車関連製品を中心とするアルミダイカスト製品を製造する大手メーカー。業界トップクラスの薄肉・軽量化技術、幅広いサイズへの対応力を武器に、年々業容を伸ばしている。

高い靱性を持つ新合金製品(右)

 車体軽量化ニーズの高まりを受け、自動車部品はアルミ化が加速度的に進行。パワートレーン関連などに広く浸透していることもあり、現在使用される製品でのさらなる数量アップが見込み難い状況にある。

 これを受けて同社は非自動車分野の開拓に加え、自動車向け新規製品の採用拡大を通じて段階的な生産数量増を狙う方針を決定。ADC12製品と比べて約5倍の「伸び」を実現するとともに、熱処理が不要なAl―Mg合金と真空ダイカスト法を組み合わせ、戦略商品として周知活動をスタートした。

 具体的には高靱性の特性を生かし、衝突時の衝撃力の吸収を狙って足回り関連などの車体部品で採用を目指す構えだ。このほど開かれた展示会・メッセナゴヤにも初めてブースを出展し、曲げ変形時に割れが生じるADC12製品と比較するかたちで試作品を展示した。

 また、耐圧部品といった高い気密性を求められる製品向けの厚肉化技術も紹介。同社は「自動車市場の変化を的確に捉えながら技術、生産機能などの対応力に磨きをかけ、持続的な数量増を実現したい」としている。

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