三菱マテリアル、自動車用LEDヘッドライト向け「アルミヒートシンク一体型基板」開発

 三菱マテリアルは14日、自動車用LEDヘッドライト向けアルミニウム(Al)ヒートシンク一体型基板モジュールを開発し、10月からサンプル出荷を開始したと発表した。DBA基板(アルミ回路付き高放熱セラミックス絶縁基板)とAlヒートシンクを直接接合することで既存品に比べ熱抵抗を50%低減し、モジュールの放熱性能を大幅に向上した。

 LEDヘッドライトモジュールでは、窒化アルミ(AlN)を基材としたCSP(超小型集積回路パッケージ)を使用し、そのCSP自体はほぼAlNと同じ熱膨張係数となっている。一方、CSPをはんだ付けし、CSPから出る熱を放出する基板には、従来は銅などの金属をベース材としたMCPCB回路基板を使用しており、その熱膨張係数はベース材の金属とほぼ同じだった。この構造ではCSPと基板の熱膨張の差が大きいため、発光時の発熱の繰り返しによってCSPとMCPCB基板の間のはんだにクラックが発生しやすいという課題があった。

 これに対し今回開発した製品では、放熱回路基板としてAlNベースであるDBA基板を使用することでCSPと回路基板の熱膨張の差を抑制し、温度サイクルに対する信頼性を大幅に改善した。

 さらに、DBA基板とAlヒートシンクの接合に使用されてきた伝熱グリースを排し、ロウ付けによって直接接合して一体型としたことで熱抵抗を半減し、放熱性能がいっそう向上したことで温度ストレスによるはんだクラックを大幅に抑制することが可能となった。

 近年、自動車運転技術の安全志向に応えて、眩惑防止や視認性向上を目的とした自動車用LEDヘッドライトの配光制御システムが登場している。同システムはLEDチップの微細化と高密度な配列が要点で、LEDチップごとにオンオフを切り替えることで多様な点灯モードを実現し、ヘッドライトのより細やかな配光制御を行うことが可能となる。こうした配光制御を行うため、LEDチップ数の増加や高密度化のニーズはさらに高まる傾向にあり、LEDヘッドライトモジュールの放熱性能向上が課題となっている。

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