全く異なる“新生”日本ハムへ 来季活躍期待の戦力たち

来季の活躍も期待される日本ハム・石井一成【写真:石川加奈子】

日本一からリーグ5位に転落、巻き返し見据える日本ハム

 昨季は球団新記録となる15連勝の勢いそのままパ・リーグを制し、見事日本一にも輝いた北海道日本ハム。今季はシーズン序盤から主力の怪我が相次ぐなど思うような試合運びができず、最終順位も5位に終わった。ただ、多くの若手が1軍の舞台で得難い経験を積み、来季に向けて期待が高まるシーズンだったと言うこともできる。

 今後に大きな期待が持てる若手野手と言えば、まず松本剛の名前が浮かぶ。プロ6年目の今季は115試合に出場し、5本塁打、打率.274を記録。交流戦ではリーグトップの打率.396の成績で日本生命賞を受賞し、11月16日から行われる「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」の日本代表にも選出されるなど、チームにとっては来季に向けた希望の象徴とも言うべき存在となっている。

 チームの大砲候補として期待がかかるのは2年目の横尾俊建だ。前半戦は不調に終わり、ファームでの出場が続いたが、8月の再昇格以降持ち前の長打力を爆発させる。8月27日の楽天戦でプロ初本塁打を放つと、最終的に7本塁打を記録。気持ちのいいスイングから生まれる「おにぎりくん」アーチを、来季は開幕から楽しみにしたいところだ。

 この他にも、ルーキーながら114試合に出場した石井一成、巨人からトレードでチームに加入して自己最多の15本塁打を放った大田泰示など、新戦力の活躍が目立った。

活躍目立った鍵谷、先発ローテ入りが期待される石川

 もちろん、昨季チームを日本一に導いた主力選手もさすがの存在感を見せてくれた。リードオフマンとして打線をけん引した西川遥輝は39盗塁をマークし、球団史上初となる2度目の盗塁王を獲得、自身初となるゴールデングラブ賞にも輝く。近藤健介は怪我の影響で57試合の出場に終わったが、驚異的な打棒を披露。6月上旬に戦線離脱するまで、打率4割台を維持した。来季は万全の状態での打撃に期待したい。

 投手陣に目を移すと、やはり鍵谷陽平の活躍が目立つ。チーム最多の60試合に登板すると、球威のある直球を低めに集め、防御率2.53と安定した投球を披露。来季も中継ぎ陣の柱としての働きに注目だ。

 また、先発ローテーション入りが期待されるのが、21歳の石川直也だ。今季は開幕1軍入りし中継ぎで34試合に登板すると、9月3日の千葉ロッテ戦でプロ初先発を飾る。白星こそ手にできなかったものの、3試合に先発した。吉田侑樹は今季4度目の先発となった9月18日オリックス戦で、「守りに入らないピッチングを心がけました」という強気な投球で7回5安打1失点の好投。見事プロ初勝利を挙げている。

 ルーキー左腕の堀瑞輝は、1軍では中継ぎとして3試合に登板。1軍初先発となった9月29日の楽天戦では、5回を投げて無四死球、1失点。黒星を喫したものの、今後が楽しみな逸材であることを自ら証明した。

 FA権を行使せず、チームに残留することを表明した宮西尚生は、今季ルーキーイヤーから10年連続50試合以上登板達成となる51試合に登板。8月3日の千葉ロッテ戦では、プロ野球史上2人目、パ・リーグの投手としては初となる通算250ホールドを達成した。

 11月13日、北海道日本ハムはツインズのマイケル・トンキン投手と契約合意に達したことを発表している。栗山監督は「来季の巻き返しに向け、リリーフ陣の強化は絶対不可欠です。80試合以上のメジャー登板をしているトンキン投手の加入は、チームにこの上ない補強となりました。パワフルなツーシームが強みで、奪三振率の高さが際立ちます。勝ちパターンのゲーム終盤に力を発揮してくれることを大いに期待します」とコメントしており、来季に向けた補強は着々と進んでいるようだ。

 最大11.5ゲーム差をひっくり返してリーグ王者に輝いた昨季の北海道日本ハム。チームは多くの魅力を備え、向こう数年はこの強さを維持するかのように思えた。しかし、様々な事情により、1年というわずかな期間でチームは変わることを余儀なくされる。ここに挙げた選手の活躍で、来季は巻き返しを果たせるか。栄光の2016年とは全く異なる新生・北海道日本ハムとしての戦いを、今から楽しみにしている。

(Full-Count編集部)

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