日立金属、熱延用ロール増産 「日立金属若松」の設備増強

 日立金属は15日、熱延鋼板圧延用鋳造ロールと構造用鋳鋼品のグローバル拡販に向け、国内生産能力を増強すると発表した。製造子会社の日立金属若松(本社・北九州市若松区、社長・岩崎俊弥氏)が鋳造・加工設備を増強し、鋳造ロールの生産能力を2割拡大。構造用鋳鋼品の大型製品対応力を高めるとともに生産能力を4割拡大する。隣接地の取得、工場建屋の新設を含む投資額は約30億円。新設備は2018年度下期に稼働開始する予定。

構造用鋳鋼品も

 日立金属若松は熱延用鋳造ロールの国内最大手。世界に先駆けてハイス系複合ロールを開発するなど技術開発力も高い。日立金属は16年9月初に中国ロール合弁の生産を打ち切り、その後に日米の超硬ロール事業から撤退。現在は日立金属若松を唯一の拠点とする熱延用鋳造ロール事業に特化している。

 ハイテンをはじめとする高級鋼板の生産は今後も拡大が予想され、その製造に不可欠な高品質・高性能ロールの需要も高まっている。製造・開発機能を集中する日立金属若松で成長投資を行い、熱延用鋳造ロールの競争力を高める。

 構造用鋳鋼品はセンクシア(旧日立機材)の露出型固定柱脚工法「ハイベース」向けが主体。鋳鋼量産製造技術をさらに進歩させて、安全・環境に配慮するとともに生産性を高め、大型製品の対応も可能とする設備体制を整える。構造用鋳鋼品でまとまった設備投資を行うのはほぼ20年ぶり。

 現工場の隣接地約1万1500平方メートルを取得し、建屋約4500平方メートルを建設。これを含めて最適生産体制の構築を図る。

 日立グループでは、日立パワーソリューションズが18年3月に鍛造ロール事業を投資ファンドに譲渡することを決めている。

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