WRC:元王者マーカス・グロンホルム、プロトンの新型『アイリスR5』をテスト

 WRC世界ラリー選手権で2度のタイトル獲得経験を持つマーカス・グロンホルムが、新たにR5規定ラリーカーの開発に乗り出したプロトンの新型モデル『アイリスR5』のテストを実施。イギリス・ウェールズの森林ステージで本格的なドライブを行った。

 現役引退後は、そのノウハウや知見を活かした“優勝請負人”として新型ラリーカー開発のテストプログラムに数多く参加してきた経験を持つグロンホルム。

 これまでにも、トップカテゴリーのWRカーであるフォルクスワーゲン・ポロR WRCの初期開発や、その傘下であるシュコダ・ファビアR5、そしてVWが新たに開発中のポロR5など、多くのプロトタイプモデルをテストしてきた。

 直近では、ポンタス・ティデマンドがWRC2クラスでドライブしたシュコダ・ファビアR5のファクトリーマシンで久しぶりのR5カー習熟を行ったのち、10月後半にはこのマレーシアを本拠地とするマニュファクチャラーの、新たなR5カーのテストドライブを担当した。

「そう、新型マシンをドライブしたことは間違いない。でもその詳細についてはあまり語りたくないんだ」と、アイリスR5のフィーリングを尋ねられたグロンホルム。

「これはほんのプライベートテストの段階で、それにも関わらず素晴らしい経験だった。でもクルマの詳細に関しては、今後も多くを語ることはないよ」

 マレーシア国籍のマニュファクチャラーとして、2000年代からWRC世界ラリー選手権やAPRCアジア・パシフィック・ラリー選手権などで活躍してきたプロトンは、今回、イギリスのマニュファクチャリング企業であるMEM社と共同で、新型ハッチバック『アイリス』のR5マシンを製作。

 その開発オペレーションを担当するチームMEMのプロジェクト責任者を務めるクリス・メラーは、元王者との濃密な1日のテストを経験できて「最高にうれしかった」と振り返った。

「我々はマーカスの仕事ぶりにとてもとても、深い感銘を受けた。彼と新型マシンのテストができて本当に光栄だった」とメラー。

「彼は一日中マシンから降りることなくドライブを続け、今後我々が取り組むべきふたつの開発エリアに関して、的確な指摘をくれたんだ」

「彼のような実績のある男が来てくれて、まだ1000kmにも満たないマイレージの新型ラリーカーをドライブし、ある種のポジティブなフィードバックが得られたことは驚くべきことではない」

「我々は今後もマーカスとともに仕事を続けたいと思っているし、彼は非常に熱心な男なので、今後どうなるかを見てみることにしよう」

 チームMEMは、この新型アイリスR5を来年早々には国際格式イベントにデビューさせ、可能なら2018年のWRC2、並びにERCヨーロッパ・ラリー選手権に向けてのカスタマー供給を目指したいという。

 マシン自体はR5規定に則り、Xトラック製のトランスミッション、レイガー製のダンパー、コスワースの電子制御、ブレンボキャリパーを採用。そしてエンジンは、かつての三菱自動車とのアライアンスに由来を持つランサー・エボリューションX搭載の4B11を排気量ダウンした、1.6リッター・ターボとなっている。

 すでにマシンは今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの会場で公開され、現在も着々と開発作業が進行中だが、2018年シーズンのWRC参戦を果たすには同年1月1日までにFIAによるホモロゲーションを経る必要がある。

© 株式会社三栄