金属行人(11月17日付)

 我が家の電子レンジが「ジジジ」という音と焦げるような臭いを放ち動かなくなった。10年近く使用していたので、それなりに元は取れたと思う。しかし、突然壊れたため買い換えが急務となってしまった▼そこでインターネットを利用して某ネット通販大手のサイトで価格の推移を調べると、別のサイトでお薦めの電子レンジとして紹介されている製品は軒並み値段が上がっているようだった▼これは「お薦め品」として紹介されたことで需要が伸び、高くても売れると踏んだ業者が値段をつり上げた可能性があった。逆に評価の低い製品は需要がなく、価格がそれほど動いていないようだった▼需要が伸びれば値段が高くても欲しいと思うのは建材製品も同様だ。需給がタイトなときには市況が上昇していく。市況は生き物のようで、人の心の動きが反映されていると感じる▼建材業界では統計上の数値がいよいよ実需として顕在化し始めたようだ。メーカーはフル生産で市中は品薄になり始め、材料価格や諸コストは上昇している。これで販売価格が切り上がらないのは経済合理性を著しく欠くだろう▼我が家も少し高くても評価の良い電子レンジに買い換えようとしている。暴利をむさぼるのは困るが赤字は気の毒だ。結局、買う側の納得感が適正価格の実現にとって重要だと気付く。

© 株式会社鉄鋼新聞社