名古屋工業大、高機能結晶粒微細化剤を開発 アルミ鋳造コスト低減へ

 名古屋工業大学はこのほど、アルミ鋳造コストを低減できる結晶粒微細化剤の開発に成功したと発表した。アルミ鋳造の際に強度向上を目的に使用する結晶粒微細化剤の異質核粒子の割合を、従来微細化剤に比べて4倍以上含有させることに成功した。微細化剤のコストを4分の1以下に低減することができ、アルミ鋳造全体のコスト削減が可能になる。

 アルミ鋳造では、組織の粗大化による機械的性質の低下が問題視され、その解決策として微細化剤の添加によるアルミ鋳造組織の微細化を図ってきた。同時に、生産コストに占める微細化剤コストの削減ニーズも強く、組織の微細化の基となる異質核粒子を、大量に含有した微細化剤の開発が求められていた。

 こうした中で渡邉義見教授・佐藤尚准教授らの研究グループは、アルミとの整合性が良く、より有効な異質核粒子として「Al2・7Fe0・3Ti」を採用し、アルミ母相中にこの異質核粒子を10%含んだ「Al―10vol%Al2・7Fe0・3Ti」微細化剤を開発。その上で「Al―Al2・7Fe0・3Ti」微細化剤中の異質核粒子を、従来の4倍以上含有させた微細化剤の開発に成功し、その微細化能を確認した。

 今回の研究では、微細化剤を生産するプラントを真壁技研と共同で開発した。このプラントでは、同一の低酸素濃度雰囲気下にて、ガスアトマイズによる粉末製造から、分級・混合、放電プラズマ焼結が可能となっている。今後は微細化剤を月産200キログラム製造することを目標としており、NEDOの援助を受けて研究開発を進めていくとしている。

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