日本ガイシの新合金製品「銅・ニッケル・錫合金板条」、精密部品向けで量産 17年出荷数量、150トンへ

 ベリリウム銅合金条生産などを手掛ける日本ガイシ(本社・名古屋市瑞穂区)は、かねてから開発、生産設備の整備を進めていた新合金製品「銅・ニッケル・錫合金板条」の量産をスタートした。精密部品を皮切りに、自動車関連をはじめとする他分野への供給も進み、17年の出荷数量が150トンに達する見通しとなった。

 同社金属事業部が手掛けるベリリウム銅製品需要は、昨年以降自動車部品や産業機器、中国向け家電関連の旺盛な引き合いを背景に高い水準にある。前年度下期からフル稼働が続いており、当面好調を維持する見込みだ。

 一方同事業部は近年、非ベリリウム銅製品の開発および量産に向けた取り組みを推進。持続的成長を狙った新たな事業の柱として、新合金製品の銅・ニッケル・錫合金板条、銅・ジルコニウム合金線を手掛けている。

 銅・ニッケル・錫合金板条は昨春溶解鋳造炉など生産設備を整え、昨年秋から時計用精密部品向けでの製品出荷を始めていたが、このほどユーザーの品質認証が得られたことを受けて上期から量産体制に移行した。現在では他分野向け製品の営業生産もスタート。自動車ユーザー向け製品の製品評価も徐々に進展し、量産を控える案件もあることから、今年の同製品の出荷数量150トンが視野に入った。

 また、同合金がベリリウム銅と比べて耐熱性、耐食性、耐摩耗性などに優れる強みを生かすとともに、従来ネックだった曲げ加工性を高めた製品の開発も継続。下期から携帯電話部品向けのサンプル品供給を始め、来年から本格的に拡販に取り組む方針だ。

 加藤明事業部長は「特性をPRするとともに、加工性向上をはじめとする研究開発を進めて採用拡大を図り、従来から目標とする20年出荷数量500トン達成を目指したい」とコメントした。

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