日本クーラー、細径アルミ管の需要開拓 エアコン部品の量産目指す

 UACJグループでアルミ伸管事業を手掛ける日本クーラー(本社・兵庫県西宮市、社長・紀平利夫氏)は、アルミ細径管の需要開拓を進めている。すでに航空機や自動車用熱交換器向けに月間数万本単位で納入しているが、成長に向けて新規成長分野への参入を検討。エアコン部品の銅からアルミへの素材転換をにらみ、量産技術の開発を進めている。

 日本クーラーが量産化を目指しているのは、空調機器や冷蔵庫の冷媒配管などに用いられるキャピラリーチューブ(毛細管)などの部品。現在は銅管部品が主流となっているものの、銅とアルミの価格差を背景にしたアルミ化の動きや、オールアルミエアコン熱交換器の台頭などを受けて大手エアコンメーカーからの引き合いが増えている。

 日本クーラーでは、直引きによる試作レベルではすでに顧客の要望に応える製品を仕上げている。しかしながら「量産化には連続抽伸で生産性を上げる必要があり、この部分が技術的なネックとなっている」(山口浩一取締役製造部長)として、製造工程の改善を進めている。

 紀平利夫社長は「二輪・四輪や航空機といった主力製品に次ぐ新たな成長の柱を育てたい」とし、エアコン市場への取り組みを強めていく考えを示した。

 日本クーラーは1941年に航空機用燃料・潤滑油の冷却器製造を手掛ける「日本冷却器」として設立され、戦後にアルミ伸管事業を開始した。旧住友軽金属と長く取引関係にあり、現在もUACJ押出加工から素管を調達。またUACJによる19・9%の出資を受け入れている。〝高強度合金(2000系や7000系)〟や〝細径製品〟の抽伸加工を得意としており、二輪・四輪自動車や航空機部品、スポーツ分野向けなど幅広い業界へ高精度材料を供給している。

 同社はきょう17日まで東京ビッグサイトで開かれている「新価値創造展2017」に出展している。得意としている二輪用ピストンロッドやシリンダー、航空機エンジン用熱交配管材など展示し、詳細を説明している。

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