「千綿人形浄瑠璃」継承へ

 江戸時代から東彼東彼杵町千綿宿郷に伝わる「千綿人形浄瑠璃」。県無形文化財に指定される町の伝統を守ろうと、有志が継承に向け活動している。19日に町総合会館で開かれる「九州人形浄瑠璃フェスティバル」で数年ぶりに披露する。

 千綿人形浄瑠璃は1999年に同郷住民でつくる保存会が約40年ぶりに復活させた。千綿中の総合的学習にも取り入れられたが、活動は自然と消滅。高齢化や人手不足で保存会も"休止状態"となり、ここ10年ほど上演されなかった。

 復活に向けた動きは2015年にスタート。町の事業として、兵庫県あわじ市を拠点に活動する「淡路人形座」から講師を招いたワークショップを実施。興味を持った30~70代の約10人が翌年、サポーター団体「千綿人形座」を結成した。

 今年に入り、月に1回程度、淡路人形座の講師に指導を受け人形遣いを特訓。普段の練習はビデオなどを見てメンバー同士で指摘し合い技を磨いた。人形は「顔と右手」「左手」「足」役の3人一組で扱う。人形が立っているとき、座っているときのメリハリをつけるなど、3人が息を合わせ細かなしぐさを表現している。

 前回の復活上演にも携わった千綿宿郷の森重幸さん(64)は「今回の上演が地域の伝統を本格的に復活させるきっかけになればうれしい。まずは町民に関心を持ってもらいサポーターを増やしたい」としている。

 フェスティバルは、19日午前10時半に開演。千綿人形座はオープニングに登場する。このほか、皿山人形浄瑠璃保存会(東彼波佐見町)など九州から計6組が出演する。入場無料。

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