2年ぶり日本一ホークスが着手した戦力整理…松坂退団、大隣に戦力外通告

来季の去就が注目される松坂大輔【写真:荒川祐史】

松坂は3年間で1軍登板はわずか1試合に終わる

 2年ぶりに日本一の座を奪還し、最高の形で2017年のシーズンを終えたソフトバンク。王座奪還の余韻が残る中、チームは早くも連覇のかかる2018年シーズンに向けて動き出した。編成面では星野大地投手、大隣憲司投手、島袋洋奨投手の3選手に戦力外通告。島袋は左肘遊離軟骨除去手術のリハビリ中で、育成契約を結ぶ予定となっている。

 世間を騒がせたのは、松坂大輔投手の退団だ。来季の戦力構想から外れた右腕。球団側からは支配下から外れて3軍リハビリ担当コーチとなり、復帰への道を探るプランを提示されたものの、現役にこだわり辞退。3年を過ごしたホークスを退団し、国内外の他球団での現役を模索することになった。

 山田大樹投手はヤクルトへの無償トレードが決まり、山下斐紹捕手は西田哲朗内野手とのトレードで楽天へ。育成選手では坂田将人投手、柿木映二投手、東方伸友投手、吉本祥二投手の4人が戦力外通告を受け、外国人ではカイル・ジェンセン内野手が退団となった。また、鶴岡慎也捕手がFA権を行使し、他球団への移籍を目指している。

 戦力外や、今季限りでの退団となった選手の実績を振り返ってみる。

◯松坂大輔(退団)
 プロ19年目。言わずと知れた「平成の怪物」はプロで輝かしい実績を残した。98年のドラフトで3球団競合の末、西武に入団。ルーキーイヤーにいきなり16勝をマークして最多勝を獲得すると、そこから3年連続最多勝。2007年には米レッドソックスに移籍し、ワールドシリーズ制覇に貢献した。インディアンス、メッツを経て、2015年にソフトバンクと3年契約を結んで、日本球界に復帰。だが、右肩の故障に悩まされ、3年間で1軍登板は1試合のみに終わった。NPB通算205試合108勝60敗1セーブ、72完投18完封、防御率2.96。MLB通算158試合56勝43敗戦1セーブ3ホールド、防御率4.45。最多勝3回、最多奪三振4回、最優秀防御率2回、ベストナイン3回、ゴールデングラブ賞7回、1999年新人王、2001年沢村賞。2006年、2009年WBCでは日本の連覇に貢献し、2大会連続でMVPに輝いた。

2013年のWBC日本代表の大隣が構想外

◯大隣憲司(戦力外)
 プロ11年目。通算139試合52勝48敗1ホールド、防御率3.30。2006年のドラフト希望入団枠で近畿大学からソフトバンクに入団。2年目の2008年に11勝で初2桁勝利、2012年にも12勝を挙げた。2013年は日本代表としてWBCに出場。このシーズン中に腰の痛みを訴え、国指定の難病「黄色靭帯骨化症」と診断された。手術を受けて治療に励んだ後、同年フェニックスリーグで実戦復帰を果たし、2014年7月10日に1軍復帰。7月27日のオリックス戦で復帰後初勝利を挙げた。今季1軍で1試合の登板に終わり、0勝1敗だった。

◯島袋洋奨(戦力外、育成再契約の見込み)
 プロ3年目。通算2試合0勝0敗、防御率0.00。沖縄・興南高時代に2010年のセンバツ、選手権で甲子園春夏連覇を成し遂げ「琉球トルネード」として世を沸かせた左腕は、中央大から2014年ドラフト5位でソフトバンクへ入団した。1年目の2015年9月に1軍初登板を果たし、2試合で投げたが、3年間で1軍登板はこの2試合のみ。今季は8月末に左肘の遊離軟骨除去手術を受けており、現在はリハビリ中。球団は育成選手として、再契約を結ぶ方針でいる。

◯星野大地(戦力外)
 プロ7年目。通算11試合0勝1敗、防御率4.73。2010年ドラフト4位で岡山東商高からソフトバンク入り。指名直後に右肘の靭帯損傷が判明し、ルーキーイヤーにいきなりトミー・ジョン手術を受けた。2013年に1軍デビューし、7試合に登板したが、その後は相次ぐ故障に見舞われた。今季も4月に腰を痛め、2軍でもわずか6試合の登板に終わっていた。ヤクルトの星野雄大は兄で、同日に戦力外通告を受けた。

◯山田大樹(ヤクルトへトレード)
 プロ11年目の左腕。通算70試合24勝26敗、防御率3.42。2006年に育成ドラフト1巡目で、茨城・つくば秀英高校から入団。2009年オフに一度自由契約となるも、秋季キャンプにテスト生で参加して育成再契約を結んだ。2010年3月に念願の支配下契約を勝ち取り、6月に1軍初昇格、6月24日の日本ハム戦で勝利投手に。これがパ・リーグの育成出身選手初の勝利投手だった。2011年、12年と先発ローテに入り、7勝、8勝とマークしたが、その後は出番が減少。昨季、今季と2年連続ウエスタン・リーグ最多勝を獲得したものの、1軍では今季2試合の登板にとどまっていた。

2010年ドラ1斐紹は新天地へ、助っ人ジェンセンはわずか1本塁打で退団

◯斐紹(楽天・西田とトレード)
 プロ7年目。通算37試合に出場し、48打数12安打0本塁打1打点、打率.250。2010年ドラフト1位で習志野高からソフトバンクへ。昨季は開幕スタメンに名を連ねたが、直後に負傷して離脱。正捕手候補として期待されながらも、今季は同期入団の育成出身・甲斐の台頭もあって、1軍の座を掴むことはできなかった。まだ25歳と若く、バッティング面では高い能力を持っており、新天地で花開かせることに期待したい。

◯鶴岡慎也(FA権を行使し、退団)
 プロ15年目。1053試合に出場し、2376打数567安打17本塁打239打点、打率.239。鹿児島の樟南高から三菱重工横浜硬式野球クラブを経て、2002年ドラフト8位で日本ハムに入団。2013年オフにFA権を行使してソフトバンクに移籍した。移籍1年目は先発マスクを被ることも多かったが、徐々に先発機会は減少。今季も高谷、甲斐に続く3番手捕手の位置付けで、プロデビューを果たした2005年以来最少の29試合出場に終わった。より多くの出場機会を求めてFA権を行使。他球団への移籍を目指している。

◯カイル・ジェンセン(自由契約)
 NPB1年目。6試合12打数1安打1本塁打1打点、打率.083。3Aで30本塁打を放った長打力を買われて、ダイヤモンドバックスからソフトバンクへ。だが、外国人を含めたソフトバンクの分厚い選手層に阻まれて、1軍出場は6試合どまり。6月6日の交流戦ヤクルト戦で公式戦初出場し、初本塁打を放ったが、結果的に放った安打はこの1本のみ。ただ、ファームでも腐らず練習をする真面目な性格でチームメートからも愛されていた。

(Full-Count編集部)

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