「つつみかん」収穫最盛期 早生は例年上回る豊作 対馬・豆酘

 長崎県対馬市最南端の厳原町豆酘(つつ)で、温州ミカン「つつみかん」の早生(わせ)品種の収穫が最盛期を迎えている。今年は天候に恵まれ、例年を上回る豊作。小島行善(ゆくよし)さん(76)の畑では、日光をたっぷり浴びて育ったオレンジ色の果実が次々と摘まれている。

 JA対馬などによると、豆酘は東シナ海に面した斜面地で、対馬暖流の影響を受けるためミカン栽培に適しているという。「つつみかん」は味が濃く、水っぽさが少ないのが特長。栽培農家は約30人で、一部が福岡の百貨店などで扱われているほかは島内でほとんど消費される。早生は11月初旬から直売所などに出回り始め、晩生(おくて)は12月初旬から収穫が始まる。

 小島さんの畑は、豆酘崎を望む高台の約40アール。ミカンの木約100本のうち約30本が早生で、今年はたわわに実った果実で枝がしなるほど。地元住民らも加勢し、剪定(せんてい)ばさみで1個ずつ丁寧に収穫していた。小島さんは「台風が直撃せず、順調に育った。昨年は不作だったが、今年は島外に出荷できるくらいあるだろう」と話している。

 JA対馬の藤島靖也(しずや)営農指導員は「このまま色づけば、晩生品種もまとまった収穫が期待できそう」としている。

豆酘崎(写真奥)を望む畑で「つつみかん」を収穫する小島さん=対馬市厳原町豆酘

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