「日朝トップ会談を」 拉致40年で横田早紀江さんが救出訴え

 1977年に新潟市立寄居中1年の横田めぐみさん=失踪当時(13)=が北朝鮮に拉致されて40年がたち、現場となった同市内で18日、拉致問題の早期解決を願う県民集会が開かれた。母早紀江さん(81)=川崎市川崎区=が登壇し、「今こそチャンス。米国の強い意志のある間に知恵を働かせ、安倍(晋三)首相が平壌に行き、金(キム)正(ジョン)恩(ウン)(朝鮮労働党委員長)とちゃんとした話し合いをしていただけたらどんなにありがたいか」と具体的な行動の必要性を訴えた。

 早紀江さんはめぐみさんが連れ去られた新潟市を訪れ、「(いなくなった時に捜し回った)海岸や神社を思い出すと、こちらに来ただけでも背筋が寒くなる思い。それから40年苦しんできた」と胸中を明かした。

 最近になり、被害に遭った前月にも、近所の女性が男につかまれたという話を聞いたと紹介。「特定失踪者も含めればものすごい数の若者が北朝鮮に閉じ込められている。生きるために従順に暮らすしかなかったと蓮池(薫)さんが言っているように、今も『助けて』と(被害者らが)言っていると思う」と訴えた。

 めぐみさんの弟で拉致被害者家族会事務局長の拓也さん(49)は「いつもは両親が出席しているが、父(滋さん)の体調が良くなく集会に出られない。これが時間の現実」と被害者家族の高齢化を強調した。

 集会は新潟県などの主催で約830人が参加した。拉致被害者の曽我ひとみさん(58)も、北朝鮮で一時同居しためぐみさんとの生活を振り返った。「私より6歳も若いのに、めぐみちゃんに助けられているような毎日だった。絶対に元気で日本に帰ってくると信じている」。加藤勝信拉致問題担当相は「解決の具体的な道筋を見いだし得ないことは政府にとっても痛恨の極み。全ての拉致被害者の帰国に向け全力で取り組む」と述べた。

 集会後、報道陣の取材に応じた早紀江さんは「何度か安倍首相と会った時にも、ぜひトップ会談をしてほしいと言ってきた。トップ同士が心を込めて話し合うことが非常に大事だと思う」と話した。

© 株式会社神奈川新聞社