平和カレンダー

 「核廃絶と世界平和」というのは恐ろしく大きな題目で、それが実現できるなどとは子どもだってなかなか信じない。それを目指している長崎の高校生1万人署名は、看板の壮大さとは裏腹に、小さな小さな活動の積み重ねだ▲長崎の、と書いたが、今や全国に広がる高校生による署名集めは、この17年間で累計167万筆を超えた。毎年選ばれる「高校生平和大使」が、その年の署名簿をスイスの国連欧州本部に届けている▲活動の種類は広がり、貧困にあえぐ国々の子どもに文房具を贈る「1万本えんぴつ運動」や、東日本大震災以降は被災地との交流にも力を入れる▲このほど完成した「高校生平和カレンダー」(長崎新聞社発行)は大震災以降、毎年作成していて、2018年版も1万部。うち半数は、原発事故に遭った福島県など東北地方や、熊本県などの被災地の学校などに寄贈される▲国内外で躍動する高校生たちの写真で作られたB4判カラーのカレンダーは、被災地を激励したいと願う高校生の心意気でもある▲「世界平和」を唱えることに、無意味さを感じる大人もいるだろう。しかし、大人たちが行動を起こさない中、高校生が力強く活動し、それが継続していることに光明を見る人もいる。そんな大人たちのカンパで、カレンダー作成は支えられている。(玲)

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