戦力外3選手にトレードも ここ5年のドラ1選手に早くも明暗

今オフに戦力外通告を受けた中日・野村亮介【写真:荒川祐史】

「ドラ1」でも5年以内に戦力外に、有望株でも苦しむプロの世界

 今季もドラフトが終わり、将来を嘱望される選手たちが続々と仮契約を結んでいる。高校生として史上最多タイとなる7球団から1位指名を受けた早稲田実業の清宮幸太郎内野手も、交渉権を得た日本ハムと先日、仮契約を終えた。

 球団にとって指名する選手はいずれも将来の貴重な戦力候補だが、1位指名は特別だ。将来性重視、即戦力などの違いがあるとはいえ、球団は将来の看板選手候補を一番に指名する。しかし期待通りにいかないのがプロの世界。下位指名選手が日本を代表するスターへと成長を遂げるケースがある反面、鳴り物入りでプロ入りした有望株が苦しむケースも珍しくない。

 ここ5年の1位指名選手を見ても、すでに明暗が分かれ始めている。

 今年のドラ1ルーキーでは12人中10人が1軍デビュー。5球団競合の末にソフトバンク入りした田中正義投手、甲子園V投手の西武・今井達也投手は1軍登板がなかったが、球団によって戦力バランスや育成方針も異なるため、1年目の成績でよしあしは判断はできないだろう。ただ、この5年のドラフト1位指名の中にはすでに戦力外通告を受けた選手や移籍となった選手も出始めている。

 2013年にDeNAからドラフト1位指名を受けた柿田裕太投手はプロ4年間で1軍登板がなく、今季終了後に戦力外となった。また14年のドラフトで中日から1位指名された野村亮介投手はルーキーイヤーの15年に3試合に登板したものの、以降は1軍登板がなく、3年目を終えた今オフに戦力外通告を受けた。

 野村と同じく14年のドラフトでヤクルトから1位で指名された竹下真吾投手も1軍登板は16年の1試合のみに終わり、今オフ戦力外に。一方、ヤクルトでは13年のドラフト1位・杉浦稔大投手が今夏にトレードで日本ハムに移籍となっている。杉浦はヤクルトの4年間で6勝8敗、防御率4.95という成績だった。

ここ5年のドラフト1位選手のプロ通算成績は

 4年前にルーキーシーズンを送った日本ハムの大谷翔平や巨人の菅野智之らはすでに球団の「顔」となり、楽天の松井裕樹(13年1位)やDeNA・山崎康晃(14年1位)など欠かせない戦力として活躍する選手も多い。一方で、ケガや激しい競争などにより伸び悩む選手もいる。アマチュア時代に光り輝いた選手であっても順風満帆にいかないのがプロの世界。清宮らは果たしてプロの世界でその才能を開花させることはできるのか。来季以降の戦いが注目される。

 以下はここ5年のドラフト1位選手のプロ通算成績。

【セ・リーグ】
〇広島 
16年 加藤拓也投手 慶大 7登板1勝3敗 率4.30
15年 岡田明丈投手 大阪商業大 42登板16勝8敗、防御率3.62
14年 野間峻祥外野手 中部学院大 246試合、率.231、1本、13点、19盗 
13年 大瀬良大地投手 九州共立大 118登板26勝19敗、2S、24H、率3.64 
12年 高橋大樹外野手 龍谷大平安 2試合、率0.00、0HR、0点、0盗

〇阪神
16年 大山悠輔内野手 白鴎大 75試合、率.237、7HR、38点、2盗
15年 高山俊外野手 明治大 237試合、率.265、14HR、89点、11盗
14年 横山雄哉投手 新日鉄住金鹿島 8登板3勝2敗、防御率4.28
13年 岩貞祐太投手 横浜商大 54登板17勝24敗、率3.82
12年 藤浪晋太郎投手 大阪桐蔭 114登板45勝37敗、率3.05

〇DeNA
16年 濱口遥大投手 神奈川大 22登板10勝6敗、率3.57
15年 今永昇太投手 駒澤大 46登板19勝16敗、率2.95
14年 山崎康晃投手 亜大 185登板8勝11敗、96S、29H、率2.35
13年 柿田裕太投手 日本生命 1軍出場なし→17年戦力外
12年 白崎浩之内野手 駒沢大 355試合、率.219、13HR、37点、6盗

〇巨人 
16年 吉川尚輝内野手 中京学院大 5試合、率.273、0HR、0点、1盗
15年 桜井俊貴投手 立命館大 20登板0勝1敗、率6.03
14年 岡本和真内野手 智弁学園 35試合、率.188、1HR、6点、2盗
13年 小林誠司捕手 日本生命 400試合、率.214、10HR、89点、6盗
12年 菅野智之投手 東海大 126試合61勝33敗、率2.18

〇中日
16年 柳裕也投手 明大 11登板1勝4敗、率4.47
15年 小笠原慎之介投手 東海大相模 37登板7勝14敗、率4.28
14年 野村亮介投手 三菱日立PS横浜 3登板0勝0敗、率10.13→17年戦力外 
13年 鈴木翔太投手 聖隷クリストファー 22登板5勝5敗、率4.33
12年 福谷浩司投手 慶大 189登板7勝12敗、38S、49H、率3.53

〇ヤクルト
16年 寺島成輝投手 履正社 1登板0勝0敗、率15.00
15年 原樹理投手 東洋大 39登板5勝19敗、率4.54
14年 竹下真吾投手 ヤマハ 1登板0勝0敗、率13.50→17年戦力外
13年 杉浦稔大投手 国学院大 33登板6勝8敗、率4.95※17年途中に日ハム移籍
12年 石山泰稚投手 ヤマハ 195登板15勝22敗、10S、48H、率3.81

パ・リーグは…各球団で戦力となっている12年ドラ1

【パ・リーグ】
〇ソフトバンク
16年 田中正義投手 創価大 1軍出場なし
15年 高橋純平投手 県岐阜商 1登板0勝0敗、率12.00
14年 松本裕樹投手 盛岡大付 16登板2勝4敗、率4.85
13年 加治屋蓮投手 JR九州 4登板0勝0敗、率8.53
12年 東浜巨投手 亜細亜大 65登板31勝16敗、率3.05

〇西武
2016年 今井達也投手 作新学院 1軍登板なし
2015年 多和田真三郎投手 富士大 34登板12勝10敗、率3.92
2014年 高橋光成投手 前橋育英 37登板12勝17敗、率4.07
2013年 森友哉捕手 大阪桐蔭 324試合、率.294、35HR、147点、4盗
2012年 増田達至投手 NTT西日本 268登板14勝21敗、59S、76H、率2.74

〇楽天
2016年 藤平尚真投手 横浜 8登板3勝4敗、率2.28
2015年 オコエ瑠偉外野手 関東一 92試合、率.245、4HR、17点、9盗
2014年 安楽智大投手 済美 26登板5勝10敗、率3.50
2013年 松井裕樹投手 桐光学園 200登板11勝17敗、96S、30H、率2.55
2012年 森雄大投手 東福岡 19登板3勝6敗、率5.17

〇オリックス
2016年 山岡泰輔投手 東京ガス 24登板8勝11敗、率3.74
2015年 吉田正尚外野手 青山学院大 127試合、率.301、22HR、72点、1盗
2014年 山崎福也投手 明大 49登板8勝13敗、率4.17
2013年 吉田一将投手 JR東日本 112登板13勝14敗、1S、28H、率3.61
2012年 松葉貴大投手 大阪体育大 107登板25勝34敗、率3.73

〇日本ハム
2016年 堀瑞輝投手 広島新庄 4登板0勝1敗、率3.38
2015年 上原健太投手 明大 10登板1勝5敗、率6.23
2014年 有原航平投手 早大 65登板29勝28敗、率4.10
2013年 渡辺諒内野手 東海大甲府 34試合、率.157、1HR、3点、0盗
2012年 大谷翔平投手 花巻東 85登板42勝15敗、1H、率2.52/403試合、率.286、48HR、166点、13盗

〇ロッテ
2016年 佐々木千隼投手 桜美林大 15登板4勝7敗、率4.22
2015年 平沢大河内野手 仙台育英 73試合、率.169、1HR、6点、1盗
2014年 中村奨吾内野手 早大 304試合、率.236、20HR、78点、19盗
2013年 石川歩投手 東京ガス 91登板39勝36敗、率3.31
2012年 松永昂大投手 大阪ガス 248登板12勝7敗、1S、81H、率2.96

(Full-Count編集部)

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