ブラジルGP技術解説(1):2018年注目のF1エアロパーツは“ハロ”。非搭載時の“原始的な”気流テスト

 F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズが週末に見つけた注目のアイテムを紹介、分析する。

■2018年を見据えたエアインテーク

 来季2018年の大きな変更のひとつが、頭部保護デバイス“ハロ”の導入である。それによって、コクピット周りの気流の流れが大きな影響を受けることになる。

 ここ数カ月の各マシンの改良を見ると、その領域で空力エンジニアたちがかなり苦心していることが窺える。たとえばインテルラゴスでのルノーは、ハロを装着しない状態で、エアインテーク真下に7本ものピトー管を取り付け、気流測定をしていた。

 フォース・インディアは今回、リヤホイールに特殊な形状のリムを投入した。ブレーキディスクとタイヤラバーから放出される熱をできるだけ早く逃し、タイヤのオーバーヒートを防ぐことが目的だった。レッドブルも同様の目的のリムを導入しているが、刻まれた溝の角度は90度違っている。

■topic:メルセデスが見せた、底知れぬポテンシャル

 ルイス・ハミルトンが予選Q1でクラッシュした後、メルセデスは、今季残り2レースしか残っていなかったにもかかわわらず、迷わず5基目のエンジンを投入した。ただでさえ信頼性に定評のあるメルセデス製パワーユニットである。レース中、担当エンジニアからハミルトンに対して、こんな指示が飛んだ。「全部で14回、オーバーテイクボタンを使っていい」と。ピットスタートからの驚異的な追い上げには、これも大きく貢献したのである。

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