排卵痛の時期・期間・症状……下腹部の張りや腰痛も
排卵痛とは名前の通り排卵期に出現する下腹部の痛みのこと。排卵期は排卵日を挟んで前後3日くらいのことを指すので、月経周期が28日の人であれば、月経から13~15日目くらいの時期が排卵期と考えられます。
この時期に、下腹部の張りや痛み・腰痛などの症状があれば「排卵痛」である可能性が高いといえます。排卵痛かどうかをチェックするためには、基礎体温をつけながら症状が出る時期を記録することが大切。毎月体温が低温期から高温期に移行する辺りで痛みの症状が出ていれば、明らかに排卵痛と診断されます。
排卵痛の原因・症状……激痛や吐き気の場合は救急受診を
排卵痛の原因として、主に以下の2つが考えられます。
■黄体による卵巣の腫れと女性ホルモンの影響
排卵後、卵巣の中には「黄体」というものが残り、卵巣全体が少し腫れた様な状態になります。これによってお腹の張りや痛みが出やすくなることがあります。また、同時に卵巣から多量の女性ホルモンが出始めるので、この影響で腸の動きが悪くなり、お腹が張りやすくなるのではないかと考えられています。
■排卵で起きる卵巣からの出血
排卵は、卵子が卵巣の壁を突き破って飛び出してくる現象。毎月の排卵で、卵巣の壁は多少傷つきます。その時少量の出血が起きるのは珍しくないことですが、卵巣からの出血量が多いとお腹の張りや痛みの原因となったり、卵巣の壁を突き破る時に強い痛みが生じることがあります。
排卵期は卵巣から出血しやすい時期なので、この時期にあまり激しい性交渉をすると、出血が多くなり「卵巣出血」という状態になることも。卵巣出血になるとお腹に激痛が走り、歩いてもお腹の底に響くような感じの痛みを感じることが多いので、心配して救急受診する人も珍しくありません。
立っていられないほどの激痛や吐き気などがある場合は救急受診した方がよいですが、下腹部の鈍痛程度なら様子を見てもよいでしょう。いずれにしても、本人が自覚症状だけで「これは卵巣出血だ」と判断はできないので、不安な症状が残り正しい診断を受けたい人は、受診が必要です。
排卵痛の治療法・対処法
排卵痛はそもそも「病気」ではないため、排卵期に多少お腹が痛くなる程度なら必ずしも治療の必要はありません。毎月強い痛みが出たり、たびたび卵巣出血になるような場合には、低用量低用量ピルで排卵を止めて症状が改善するかどうかをみていきます。
卵巣出血で強い腹痛がある場合は、入院して様子を見ることも。また、卵巣からの出血が止まらず、お腹の中に血液がたまってきているような場合には、手術で卵巣を確認し、出血部分を止血することもあります。
排卵痛の受診の目安は痛みの強さと期間で考える
排卵痛かな?と思ったら、まずは基礎体温をつけて痛みが出るタイミングが排卵の時期と合っているかどうかを見てみましょう。明らかに排卵痛であっても、それが1~2日の軽い腹痛程度なら受診や治療の必要はあまりありません。
受診の目安としては、毎月痛み止めが必要なほどの痛みが排卵期にも出現したり、痛みが3日以上続いたりする場合。毎月症状が辛いようであれば、まずは2~3カ月低用量ピルで排卵を止めて症状が改善するかどうかを見てみた方がいいでしょう。
また、いつもは軽い排卵痛程度ですぐに治まっていたのに、今回は立ち上がれないほど痛いあるいは痛みが1週間以上続くという場合は、すぐに受診した方が安全です。通常の排卵痛は1~2日ですぐ治まるのに、1週間以上痛みが続く場合は、卵巣出血や黄体出血の可能性が考えられるからです。