甲斐だけじゃない 若手が着々と成長、白熱するソフトバンクの正捕手争い

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

甲斐がベストナインに輝くも…将来有望な捕手が続々と台頭?

 11月11日、福岡ソフトバンクの斐紹捕手と楽天の西田哲朗内野手の交換トレードが発表された。また、今季29試合の出場に終わった鶴岡慎也捕手が、出場機会を求めてFA権の行使を表明。福岡ソフトバンクの正捕手争いの様相は、刻一刻と変化している。

 今季は、育成出身ながら強肩と勝負強い打撃で台頭した甲斐拓也が、チームの捕手の中では最多の103試合でマスクを被り、ゴールデングラブ・ベストナインに輝いた。それに次ぐ92試合に出場したのは最年長の高谷裕亮。この2選手が正捕手の座により近い存在であることは間違いないが、3番手には誰が出てきてもおかしくない状況にある。そこでここでは、将来有望な福岡ソフトバンクの捕手陣に注目してみたい。

 まず紹介するのは、谷川原健太だ。2015年のドラフト3位で豊橋中央高校から入団。二塁送球タイム1秒8、高校通算41本塁打、さらには50メートル6秒の俊足を誇り、走攻守の三拍子が揃った捕手として大きな期待を寄せられた。1年目の昨季は、主に3軍戦に出場して経験を積むと、今季終盤に2軍昇格。初打席初安打を放ち、13試合のみの出場ながら打率.400の成績を残した。ファームで存在感を発揮し、来季は1軍昇格を目指したい。

 次に、甲斐と同様に、育成契約から支配下登録を勝ち取った張本優大。2013年に育成4巡目で佛教大学から入団。1年目からコンスタントに3軍の試合に出場すると、3年目の昨季には育成選手ながらフレッシュオールスターゲームにも出場した。

 そして期限ぎりぎりの7月31日に支配下登録を勝ち取る。今季1軍出場はなかったものの、春季キャンプではA組に抜擢され、甲斐、栗原陵矢らとアピール合戦を繰り広げた。潜在能力の高さは評価されているだけに、今後は結果で首脳陣へアピールしていきたい。

高卒ルーキー九鬼、3年目の栗原も

 続いては高卒ルーキー・九鬼隆平。秀岳館高校3年時にはキャプテンを務めて、母校を春夏連続の甲子園ベスト4に導いた。高校生ナンバーワン捕手との呼び声高く、昨年、ドラフト3位で福岡ソフトバンクに入団する。入団会見では「早くて3年、遅くて5年以内には正捕手で活躍したい」と並々ならぬ決意を語った姿が印象的だった。

 高卒ルーキーながら、今季3月17日のファーム開幕戦には、「9番・指名打者」でスタメン出場を果たす。最終的に、3軍で64試合に出場して打率.257ながら、チームトップの7本塁打、12盗塁を記録。まだ若く、その身には無限の可能性が秘められているだけに、球団の期待は大きいことだろう。しかし幸い選手層の厚いチームであるため、今やるべきことに時間をかけて打ち込めるはずだ。いつの日か憧れの城島健司氏のように、リーグのみならず球界を代表する捕手へと成長してほしい。

 最後は今季1軍昇格も果たした3年目・栗原だ。2014年にドラフト2位で入団すると、今季はファームでの出場試合数が大幅に増加。6月13日の巨人戦では1軍デビューも果たしたが、無念の降格後、「僕は(甲斐)拓也さん以上に打たないと試合には出られない」と、悔しさを露にした。現在の自身の課題を痛感しているだけに、来季は打撃でも結果を残し、正捕手争いへ絡んでいきたい。

 このように、福岡ソフトバンクにはまだ多くの有望な若手捕手が在籍し、レギュラー争いを繰り広げている。来季以降、この中から何人の選手が1軍への切符をつかみ、チームの屋台骨を支えるだろうか。常勝軍団へ成長を続ける一方で、育成にも注力して次々と有望な若手を輩出する福岡ソフトバンク。そのハイレベルなチーム内競争に、今後も注目していきたい。

(Full-Count編集部)

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