長引く「痛み」が人間関係を壊す?注意すべき7つの行動

頭痛、腰痛、肩……長引く身体の痛みによって、つい周囲にきつく当たってしまう。そんなとき、やってはいけない行動があります。

長引く痛みは、辛いものです。先の見えない痛みに悩み、痛みを我慢する生活に疲れ果て、生きる気力をも奪うことがあります。長引く痛みだからこそ、家族やパートナー、病院のスタッフなど周囲の協力と支えが必要なのに、ついストレスできつく当たってしまう、なんてことはありませんか?

ストレスのはけ口として痛みの矛先となった大切な人が、もし、あなたから離れていったら、最も困るのはあなたです。痛みのストレスを当たり散らすばかりでは、痛みはドンドン長引き、健康的な生活はますます遠ざかっていくことでしょう。ここでは、長引く痛みを抱えた人が痛みのストレスでとってしまいがちな、やってはいけない7つの行動パターンを紹介します。

無口になる

話さない。会話をしない。無視する。自分に何が起きていて何が辛いのか説明しようとしない。言わなくても分かってくれるだろうと考えている。どのように助けてほしいかを言わない。

やってはいけない無口になる状態とは、ただだんまりを決め込むだけでなく、独りよがりな思考パターンを持ちながら黙っている状態です。長年連れ添ったパートナーだから分かってくれるはず、と考えるのは間違いです。

痛みは日によって症状に波があり、他人が外から見ただけでは理解しにくい症状です。手を差し伸べたい、と考えてくれる周りの人に分かってもらうためには、痛みの症状、重症度、こうして欲しい、反対にこうして欲しくない、など、細かなコミュニケーションを取ることが必要です。

説明せずにその場を去る

部屋を出る。スッとその場を離れ、寝室などに引きこもる。フラッと外に出てしまう。

あなたが痛みを訴えた時、それを理解し受けとめようとした協力者には、痛みだけ訴えられてその場を去られてしまったら、どうしたらいいか分からず失望感だけが残ってしまいます。痛みのストレスを訴えるだけの方法で発散しようとせず、都合の悪いことも面倒くさがらずに説明してみましょう。

「今日は腰痛がひどくて辛い。仕事を小分けにしてやってみるよ」「ジンジンしびれて集中できない。今はできないけど明日やってみよう」「台所の立ち仕事がしんどいから、手伝って欲しい」など、前向きにどう行動すべきかを考え対策を発言することが大切です。

痛いことを誇示する

顔をしかめる。顔面を手で覆う。強く痛みを訴える。痛みをオーバーなアクションで表現する。

痛みをオーバーに表現することは、相手にかまって欲しいことの表れのひとつですが、ずっと強く痛みをアピールされ続けると、周囲の人は疲れてしまいます。度を越した痛みのアピールは、それはすでに痛みの訴えではなく、自己中心的でわがままな訴えでしかありません。

周囲の人はやがてケアが辛くなるだけでなく、あなたという存在そのものを避けたい、と感じるきっかけとなるでしょう。

自分の痛みを語る

どんなに痛いか。この痛みでどれほど苦しめられているか。毎晩シクシク痛くて眠れない。何をしていても痛みが襲ってくる。

一見痛みを説明しているように見えますが、これらの言葉を発信し続けることも誤った行動パターンです。痛い、辛い、どれほど苦しいか、必要以上にそればかり訴えるのは、痛みに心が囚われた状態です。一方的に愚痴を聞き続けることが苦痛なように、痛みの訴えを聞き続けることも、とてもストレスなのです。

自分の口ぐせをちょっと思い出してみましょう。痛い、辛い、苦しい。これらの言葉が目立つようなら、無意識のうちに痛みで頭がいっぱいになり、周囲への配慮が欠けているかもしれません。

他の人に興味が無くなる

他人の言葉に耳を傾けなくなる。他人を意識しなくなる。周囲が心配していることに気付かない。

「良い先生がいるって聞いたから、相談してみない?」こう話しかけられても、無視したり、聞き流すようなパターンです。心配して話しかけたのに肝心のあなたが心を閉ざしたままでは、周囲はあなたから拒否されたと感じ、心が離れていってしまいます。

痛みに悩み、余裕のなさがそうさせてしまうのですが、せっかく手助けの意思を持った周囲とのかかわりを失うと、痛みから解放されることはとても難しくなります。

激しい気分の変動を周りにぶつけてしまう

イライラ。悲壮感。落胆。欲求不満。怒り。

気持ちが落ち着かず浮き沈みが激しい人は、腫れものを触るような扱いをされてしまうことは想像できますよね。痛みを抱えた人が本当に欲しいものは、恒常的で安定したケアです。そのためには、腫れ物に触るような必要最低限のかかわりではなく、つかず離れず適度な距離を保ったお互いに快適な関係が求められます。

自分で痛みをコントロールするためにも、心の平穏を保つように心がけましょう。万が一、痛みでキレてしまっても、相手が途方にくれないようにアフターケアを忘れないようにしましょう。

挑発的な発言をする

どうせ、どれほど痛いかわからないだろう。痛くて痛くて、そんなことはできない。君も私と同じ痛みがあったらわかるよ。

皮肉な表現で痛みを発信し、周囲を傷つけるパターンです。「どうせ君には痛みは理解できないだろう」と発現することは、痛みを理解し、少しでも痛みを和らげてあげたいと思ってくれている相手にとっては、拒絶に他なりません。挑発したところで、あなたの痛みは軽減しません。それどころか拒絶されたパートナーは、分かってあげられなかったと落ち込み、あなたの元を去っていくかもしれません。

他人の痛みを、全てを理解することはできません。分からないけど少しでも力になってあげたい、力になって欲しい、と考えるパートナー関係でいいのです。寄らず離れず、自立した関係を保つことが痛みを抱えても自分らしく生きる周囲とのかかわり合いです。

痛みを抱えている人が一番辛いことは理解しています。しかし、痛みが長引いてくると、自分の行動や口ぐせひとつで自分も周囲も元気にも不幸にもするのです。優しいひと言、感謝の言葉、なにげない日々のコミュニケーションを上手に取り続けることが、痛みからあなたを解放する一歩です。

参考文献:自分で「痛み」を管理しよう Dr Michael Nicholas ら 監訳 坂本篤裕 河原裕泰

(文:富永 喜代)

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