ファンの前で語り尽くしたハム大谷、渡米前の心境も吐露「てっぺん目指す」

応援大使を務める北海道月形町でトークショーを行った大谷翔平【写真:石川加奈子】

メジャー移籍間近の大谷翔平、ファンの前で宣言「てっぺん目指す」

 日本ハムの大谷翔平投手が22日、応援大使を務める北海道月形町でトークショーを行った。メジャー挑戦表明後、初めて北海道のファンの前に姿を見せた大谷は、子どもの頃の話から来季に向けた思いまで語り尽くした。

――本日来ることができなかった新垣選手(ウイルス性急性結膜炎で急きょ欠席)について、大谷さんからこんな選手ですよとご紹介していただけますか?

「皆さん知っていると思いますけど、野球よりもトークがうまい選手なので、今日来れなかったのは残念だなという感じなんですけど、トークは僕よりも全然うまいですね」

――代わりに一発芸するつもりはないですか?

「ないです」

――即答でしたね。おそらくここにいる皆さんも大谷さんの一発芸を見られると思っていないと思うので、そこの期待度はないかと思いますが。

「はい、逆にやりたい方がいれば、ここでやってもらって」

――そんな勇気ある人います? いないです。一方の大谷選手がどういう選手なのかということで、同期入団の鍵谷さんに教えていただき、メッセージを送ってもらいました。「勝手に僕は翔平のことを弟みたいに思っているのですが、翔平はいつになったら心を開いてくれますか?」ということなんですが、鍵谷さんに心を開いてないんですか?

「開いてないですね。あんまり心開かないタイプなので」

――チームの中で心を開いている選手はいますか?

「いないですね」

――ゼロ?

「はい。心の底から信頼している人はいないです」

――この世の中にゼロってことはないですよね?

「それはさすがにないですけど」

――例えば、どなたを信頼されていますか?

「両親はもちろんその通りだと思いますけど。そこが一番じゃないですか。個人的には」

――背番号80あたりの方は?

「そうですね、ほぼほぼ両親に近いような感覚なので、それはあるかもしれないですね」

――今日1日、月形町を回って、どんな町だなという印象がありますか?

「ちょうど雪も積もっていたので、実家に近いような風景だなっていう感じでしたね」

――岩手もかなり雪降りますか?

「降りますね。ただ太平洋側なので、日本海側に比べたら少し積雪量は少ないかもしれません」

――お昼ごはん食べたと思いますが、美味しかったものはありましたか?

「お肉は美味しかったですね。あんまり数もないみたいなんですけど、貴重なものを食べさせてもらって。皆さん食べたかどうかわからないんですけど。もしかしたら僕の方が早く食べちゃったかもしれないです」

――月形熟成牛をもう食べたことあるという方いらっしゃいます? あんまりいらっしゃらないですね。大谷さんから月形熟成牛の良さをあらためてお願いします。

「すごい熟成されていました」

――野球についてですが、今年どんな1年でしたか?

「序盤でけがをしてしまったので、納得できるシーズンでは正直なかったですけど、個人的にはすごい勉強になったことがたくさんありました。去年優勝したシーズンとは真逆のシーズンになってしまったので、悔しい気持ちと申し訳ない気持ちといろいろあったかなと思います」

米国で必要なものは「英語うんぬんよりもまずは野球」

――ギャップが大きかっただけに、かなりストレスとか大きかったと思いますが、どうですか?

「去年優勝して、今年も連覇を狙えるぐらいの戦力だったと思いますし、そういう体制が整っていたと思うので、その中でうまくいかないことがたくさんあるというのはなかなか自分としても、もどかしい部分がたくさんあったんじゃないかと思いますし、悔しい気持ちがあったかなと思います」

――あまりそういうことを外に出て発散できないじゃないですか。どうしているんですか?

「発散ですか? いや、けが人は外出禁止ですし、それはルールなので、発散も何もないですね。溜め込むしかないです」

――誰かに当たったりとかは?

「ないですね。もう自分のせいなので」

――大人ですね。有原さんとか頑丈だから多少当たっても大丈夫そうじゃないですか?

「いやいや、もう倍返しですよ、それこそ」

――それはちょっと止めておきますか。オフに入って、これだけ注目されることもなかなかないと思いますが、まずは心配している方もたくさんいると思いますが、足首の状態はいかがですか?

「足首は結構もういいですね。だいぶ状態も上がってきましたし、やれるリハビリの強度もだいぶ上がってきているので。いい感じで、できているんじゃないかと思います」

―― 一歩ずつ慎重にという部分が大きいと思いますが、もっと思い切ってやりたいなという気持ちは抑え込んでいるんですか?

「やろうと思ったらできるメニューも多いと思うんですけど、当初の予定通りのメニューをしっかり期限通りいっていくというのが基本ですし、いけると思って上げても良くないこともあるので。できることを一つ一つやりたいなと思っています」

――オフに入ってもストレスが溜まる年ですね。

「ストレスは溜まらないですね」

――そうですか? マスコミもたくさんいますし。

「それはストレスですね」

――今日もトークショーで何とか見出しになる言葉をというプレッシャーがすごいんですけど。そういう華やかな発言する気持ちあります?

「信頼ゼロでいいじゃないですか」

――アメリカに旅立つ大谷翔平、実はチームメートへの信頼ゼロでしたって?

「はい」

――アメリカに行くわけですが、英語はどうですか?

「英語うんぬんよりもまずは野球だと思っているので。必要なものではあると思うんですけど、まず絶対的に必要なものは野球の技術だったり、求められているパフォーマンスを出せるかどうか。そっちの方が大事なので。よく聞かれる質問なんですけど、僕はそっちの方が大事なんじゃないかなと思っています」

――質問、平凡でしたか?

「そうですね。ありがちな質問でしたね」

――大変失礼しました。ちなみに、中学とか高校の時の英語の成績は良かったですか?

「平均レベルだと思います。全教科、普通ぐらいじゃないですかね」

――そんなにできなかったわけではない?

「できなかったわけじゃないですよ、自分で言うのも何ですけど。普通でした」

――授業で寝ていたわけではない?

「中学校はなかったですね。高校でちょっと朝練が早かったりすると、うとうとするのはありましたけど。中学校までは授業で寝る意味がわからなかったです」

――高校に入ってわかった?

「高校になってわかりました」

応援大使を務める北海道月形町でトークショーを行った大谷翔平【写真:石川加奈子】

練習をやりたくないと思ったことは「ないですね」

――今日ちびっ子も来ていますが、勉強とスポーツの両立について何かメッセージをいただけますか?

「寝ないように。でも、それぐらい頑張れるものをまずは見つけてほしいですね」

――小学校の質問コーナーで、野球が好きだから練習をやりたくないと思ったことがないと言っていたのを聞いてびっくりしたんですけど、本当に練習をやりたくないなという日はなかったですか?

「ないですね。もしかしたら、そこまで追い込んだ練習を普通の人よりしてなかったのかもしれないですけど」

――そんなことはないでしょう。甲子園も行っているし、プロにもなっているし。

「でもやっぱり、関東とか関西とか強豪のそれこそ軍隊みたいな、小さい頃からそういうところでやってきている選手というのは、想像以上に練習していると思うので。そういう意味では僕は楽しくのびのびとやっていましたね」

――軍隊みたいなのは中田さんのところとか?

「小さい頃はわからないので。そういうチームは強いですし、すごいなと思っていましたけど、僕には無理だなと思っていました」

――高校に入る時に、関東や関西の軍隊みたいなチームから誘いは来なかったんですか?

「僕は全然なかったですね。岩手県でのびのびやっていたので。全国大会にもそんなに出たことなかったですし。そんなに名前が全国に轟いているような、どちらかと言うと清宮君とは全く真逆のタイプだったので」

――あの人は小さい頃から有名でしたから。

「そうですね。すごいと思います」

――野球の技術が急に伸びた時期があったんですか?

「どうなんですかね。全国大会にあまり行ったことがなかったので、自分がどのくらい上手いのか、全く理解しないまま高校に行って、甲子園に出たという感じだったので。小さい頃、上手かったのかどうなのかも、ちょっとよくわからないですね、自分の中で」

――じゃあ逆に、あれっ、俺もしかして飛び抜けているかもと思った時はいつですか? プロに行けるかもと思ったのは?

「高校に入って、いろんな雑誌とかテレビとか取り上げられるようになって、もうちょっと、自分が思っているより上にいるのかもしれないなとは思いました」

――そういう時、取材されるのはうれしかったですか?

「そうですね、注目されるというのはうれしいですし、高校でも甲子園に行くのはうれしいですし、個人的に取り上げられるのもうれしかったですけど、最初は自分が思っているよりも下なんだろうなと思っていたので、ちょっとびっくりした部分の方が大きかったですね」

――今、取材されるのはうれしいですか?

「インタビュアーによるかもしれないです」

――怖い言葉ですね。ちなみに私は?

「ちょっとよくないかもしれないです」

清宮の第一印象は「どしっとしている」、「僕とは全く真逆」

――私の中では、ちょっとで良かったなというところもあります。今、清宮さんの話が出てきましたけど、清宮さんが大谷さんの印象を大きくて顔が小さいと言っていましたが、大谷さんから見て、清宮さんはどんな印象ですか?

「僕がウエートしていて、ちょこっと入ってきてという感じだったので。話すレベルでもなかったので、会話もしていないので第一印象も何もなかった感じなんですけど」

――チラッと見たという感じなんですね。チラッと見た感じ、どんな感じでした?

「チラッと見た感じ……どしっとしてましたね」

――テレビで見ている、バッティングフォームそうなんですけど、柔らかそうな感じに見えるんですけど。

「あんまり、まじまじ見たことがないので、こんな大勢の前で何も言えないんですけど、第一印象としてはやっぱりどしっというのが強かったです」

――大谷さんが入ってきた時は細かったもんね?

「そうですね。僕とは全く真逆だと思います」

――これからファイターズを背負って立つことになると思いますけど、どんなプレーヤーになってほしいなと思いますか? 大谷さんから言うことではないかもしれないですけど、何かあれば。

「難しいですね。見本になる先輩がたくさんいると思うので、ぜひ頑張ってほしいですし、清宮君が月形町の応援大使にいつかなれるように願ってます」

――あのお肉美味しそうに食べそうですね。

「そうですね」

――ここからは質問コーナーに移ります。事前にお寄せいただいた質問を箱の中に入れまして、大谷さんに選んでいただいて、どんどん答えてもらうコーナーになっているんですが、トマトジュースどうですか?

「大丈夫です」

――お二人の少年時代はどのような過ごし方をしていましたか? 野球の練習ばかりしていたのでしょうか? 残念ながら新垣さんはここにいません。お一人なんですが、どんな少年時代でしたか?

「これもよく聞かれるんですけど、基本的に土、日が野球だったので、土、日以外は普通に学校に行って、遊んでいう感じでしたね」

――例えば、毎日朝練していましたとか?

「それはなかったですね。正直に言いますけど。朝練みたいなものはなかったですね。義務付けてやっているものもなかったですし、やれと言われたものもなかったです。家の中ではずっとボールを持っていたり、バット持っていたり、という感じですね。やりたい時に外でやったりとか。自由な感じでしたね」

――野球の練習は土、日の2日間だけ?

「はい」

――それ以外は自主練をやると決めたものもなく?

「ないですね」

――そういう感じの方がいいんですかね?

「どうなんですかね。毎日やるというか、決めてやっていたものはなかったです。やりたい時にやって、ですね」

――ずっと線は細かったわけですよね。もっと食べて太くなろうと努力したことは?

「食べろ、食べろと言われていたので、それはありましたけど、その時の僕は食べても太らないんだよと思っていたんですよね。今思ったら、あんまり食べてなかったなって思います」

――親からするともっと食べろと言っちゃうんですよね。

「それは言われていましたけどね。どうせ太らないと思ってやっていました」

影響を受けた人物は2人、「栗山監督じゃなかったら、いなかったかも」

――次の質問です。ファイターズで最も印象に残った試合を教えてください。

「最も印象に残った試合は、個人的に言うならリーグ優勝した試合、西武ドームでの。最後まで投げきりましたし。最後までマウンドにいれると思っていなかったので、大事な試合で最後までいけたというのはすごい良かったし。マウンドでみんなで胴上げしたりとかというのもすごい良かったですね」

――あの試合は他の試合と比べて精神状態は違いました? 顔が違う感じがするんですよね。

「顔は一緒でしたよ」

――それはそうなんですけど、それは揚げ足取るって言うんですよ。

「表情は違ったかもしれないですね」

――そう、正しく言うと表情です。

「どうなんですかね。緊張はしていましたね、やっぱり。前の日から緊張して。130超えて、残り10試合なかったので、それだけやってきて、あと何試合かで優勝か優勝じゃないかが決まるっていう、その大事な試合で投げるというのはすごい緊張しましたし、自分としてもすごいいい経験したなと思っています」

――本当にあの試合ナイスピッチングでした。ありがとうございます。次の質問です。プロ野球選手になるにあたって、一番影響を受けた人は誰ですか? 眠いですか?

「いや、悩んでいるんです」

―― 一番と言われるとね、一人しかダメということですから。この人挙げたら、あの人がとなりますもんね。

「そうなんですよ、そこなんですよ。一人じゃないので。誰ですかね、高校の監督もそうだし、栗山監督もそうだし」

――プロ野球選手になるにあたってと書いてありますよ。

「栗山監督ももちろんですよ、交渉に来てもらいましたし。栗山監督じゃなかったら、もしかしたらいなかったかもしれないので。影響は受けましたね。やっぱりその2人じゃないですかね」

――お父さんとかは?

「お父さんは、そうでもなかったです」

――そうなんですか?

「いや、どうなんですかね。それは気づかないところでもらっているものかもしれないですね」

――高校の監督はどういうところですか? 考え方ですか?

「そうですね、お父さんから同じことを言われるのと、監督とか栗山監督とかから言われるのではちょっと意味合いが違ってくるというか。受け取り方も違いますし。そういう意味ではすごく影響を受けたんじゃないかと思いますね。純粋に言っていることがスッと入るという感じかもしれないです」

――高校時代は技術ですか? 精神力ですか?

「技術はほとんどミーテングとかやらなかったので、野球の技術に関してはそこまでなかったですね」

――考え方とか、人間としてということ?

「そういうミーティングばかりでした、高校の時は」

――栗山監督は、交渉の中で印象に残っている言葉はあります?

「責任を持って一緒に取り組んでくれそうだなと。そう受け取りました。入ったら入ったで知らないという感じではなくて。本当に一緒にやっていってくれるというのが伝わってきたので。そこはありがたかったですね」

――ファイターズに入ってくださいとは言わなかったと聞いているんですけど。

「一緒に頑張っていこうというニュアンスの方が強いですね」

―― 一番はどっちですか?

「決められないです」

メジャー移籍間近、「来年から個人的にてっぺんを目指して頑張りたい」

――決められないですね。さあ、次の質問に行きましょう。今の登場曲に決めた理由はなんですか?

「特にこだわりはなかったので、ピッチャーの方は好きな映画の挿入歌。そういう感じで決めました。最初の方は、広報の人とかが決めてました。僕何でもいいのでと言って、決められたものを使っていて。自分で決めたのは、さっき言ったのが初めてですね」

――今思ったんですけど、大谷翔平も映画に行くんだなと。野球ばっかりじゃないだなと。どんな映画が好きなんですか?

「スポーツが多いですね」

――ロッキーとか?

「ロッキーも全部見ましたね」

――あと何ですか?

「アメフトとかの映画が多いです」

――打席に入る時の曲はどうやって決めたんでしょう?

「あんまり覚えてないです。たぶん、いいなと思って。そんなに深い意味はないです」

――他の選手のこういう曲カッコイイなというのはあります?

「自分の曲がある人とか」

――中田さんとか?

「そうですね。それはいいかなというか、みんな覚えやすいかなと思います」

――次行きましょう。日本ハムで一番印象に残っていることは何でしょうか、感動、衝撃など。

「印象はやっぱり入団の時じゃないですかね。入団する時かなと思います。入団会見も含めて、あれを超える緊張感はなかったです」

――今、そんな緊張することあります?

「あの時ほどはないですね」

――感動は優勝ですかね?

「感動はさっきと同じになっちゃいます。でも、優勝旅行も楽しかったです」

――優勝旅行、私も取材で行きましたけど、大谷選手含めた独身チーム、今日はプールだ、ビーチだと言って、我々の手の届かないところでのびのびしてましたもんね。

「なるべくテレビが来ないように、やってましたけど、楽しかったですね。機内も楽しかったですし」

――寝たの?

「寝ましたよ、ちょっとだけ」

――ちょっとだけ寝て、降りてすぐ遊びに行ったんですか?

「たぶんそうだと思います。あっ、でもその夜は優勝会があって、みんなでご飯食べて、次の日からは自由行動みたいな感じでしたね」

――さあ、これが最後の質問になります。来シーズンからメジャーに行かれるということですが、これからの夢、目標を聞かせてください、という質問で最後いきたいと思います。お願いします。

「まだ全然決まってないですけどね。一応頑張りたいなと思っているので。ファイターズでプレーするというのはこの先ないかもしれないですし、この5年間を大事にして、来年から個人的にてっぺんを目指して頑張りたいなと思います」

――てっぺんとってください。よろしくお願いします。

(Full-Count編集部)

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