がんの患者にウィッグ 無料貸し出し 支援グループがおしゃれ提供

 乳がん検診の啓発、患者や家族の支援活動をする佐世保市のNPO法人「葵会」は、不用になった医療用ウィッグを集めて、抗がん剤治療の副作用で脱毛に悩むがん患者に無料で貸し出す取り組みを始めた。20日、同市平瀬町の市総合医療センターで初めての試着展示会を開いた。

 代表の吉村市代さん(61)によると、ウィッグはオーダーメードで数十万円する。精神的・経済的負担を少しでも取り除けるよう提供の呼び掛けを始めた。

 県内各地をはじめ遠くは神奈川県と大阪府から計14個集まった。活動を知った市内の二つの美容室「Kamikoubou956」(鹿子前町)、「Jam up」(山祇町)が協力し、無料でカットする。

 この日は11個を展示。毛の色や量など希望に合わせて選び、着け方をアドバイス。患者は「こっちのほうが自然に見えるかな」と美容師と相談しながら選んでいた。肺がんを患う市内の女性(70代)は「髪がやっと伸びたと思ってもまた治療で抜ける。その繰り返し。ウィッグは高価で手が出なかった。帽子タイプのものを買ったがずれて使いにくかった」。一緒に訪れた娘は「気にしていつも帽子を深くかぶっている。ウィッグで本人の気持ちが少しでも前向きになればうれしい」とほほ笑んだ。

 吉村さんは「市外の患者からもほしいと連絡があった。活動を多くの人に知ってもらい、もっと広げたい」と話した。問い合わせは吉村さん(電090・3667・8184)。

吉村代表(右)に希望を伝えながらウィッグを選ぶ患者=佐世保市総合医療センター

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