「人に好かれる人」「避けられる人」が無意識に使う言葉

言葉を発する前に考えているかどうか、思ったままの不快な感情をただ吐露してしまっていないか……思い当たるところはありませんか?

「ふわちく言葉」を知っていますか?

気がつけば人が集まり笑いが絶えない人、気がつけばぽつんと1人になりがちな人……。集団でいることが好き人や、一人でいることが好きな人、コミュニケーションが苦手な人など、さまざまな違いもありますが、もしも何となく人に避けられてしまうというような場合、何気なく使っている言葉が人を遠ざけている可能性があります。

「人に好かれる人」「人に避けられる人」を分ける、ちょっとした言葉の違いとは何でしょう? みなさんは、「ふわちく言葉」を知っていますか? 最近の小学校では、「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」に分けた「ふわちく言葉」を子どもたちに低学年から教え、好ましい言葉づかいを意識させる先生が増えています。

「ふわちく言葉」を意識することは、大人にとっても大事なこと。では、「ふわちく言葉」は、それぞれ具体的にどのような言葉なのでしょう? 例を挙げて考えてみましょう。

「ふわふわ言葉」「ちくちく言葉」――あなたはどちら派?

■ふわふわ言葉

それを言われると、気持ちがほっこり温かくなり、うれしくなる言葉です。例えば次のようなものがあります。

・いつもありがとう

・いつも助かってるよ

・いっしょにがんばろう

・さすが○○さんだね

・○○があなたのいいところだね

・よかったね!

・その気持ち、分かるよ

・大丈夫? どうしたの?

・体に気をつけてね

■ちくちく言葉

それを言われると気持ちが殺伐とし、傷ついてしまう言葉です。例えば、少し極端な例ではありますが、次のようなものがあります。

・バカじゃねえの

・うざい、キモい

・ムカつく

・うるせーな

・ふざけんな

・消えろ、死ね、いなくなれ

・のろま、トロい

・ドンくさい

・お前なんかいらない

あなたが無意識のうちによく使うのは、「ふわふわ言葉」寄りでしょうか、それとも「ちくちく言葉」寄りでしょうか? 「私はちくちく言葉なんて使ってない」と思っていても、無意識のうちに人の心をチクッと刺すような言葉を使っている人は、意外に多いかもしれません。

「ふわふわ」と「ちくちく」の違いは、“考えられている”かどうか

この2つの大きな違いは、まず「ふわふわ言葉」がよく吟味された言葉であること。「ちくちく言葉」は不快な感情をただ吐露している言葉であることです。

「ふわふわ言葉」の使い手が重視しているのは“相手の気持ち”。どう接すれば相手が楽になるのか、状況が好転するのかが考えられています。したがって、この言葉を自然に使っている人は、コミュニケーション上手な人と言えるでしょう。

一方で「ちくちく言葉」の常習者は、苛立ちや衝動的な感情の処理をうまくできていない可能性があります。社会生活の中では、他人の言動に苛立つことは誰にでもたびたびあります。そのとき感じたままの感情(「うるせー!」「ウザい」など)をその場で吐き出せば、気持ちは収まるでしょう。しかし、それが相手を傷つけ、恨みを持たれてしまうのです。

雰囲気のいい場所、悪い場所では、使われている「言葉」が違う

「言葉はキャッチボール」と言われるように、どのような「言葉のボール」をキャッチするかによって、受け手の感情は変わります。

「ふわふわ言葉」のようなやさしいボールが投げられたら、受け手は安心してキャッチできます。そして、同じようにキャッチしやすいボールを投げ返そうとするものです。こうした「ふわふわ言葉」のキャッチボールが多い環境では、自然と場の雰囲気が良くなり、会話が活発になり、その中で過ごす人々のコミュニケーションも上達していきます。

一方、「ちくちく言葉」の多い環境では、ボールが凶器になってしまいます。例えば、「なにするんだよ、バカ」といった言葉のボールを不意に投げつけられたら、受け手は傷ついてしまうでしょう。この傷によって苛立ちが掻き立てられると、「ちくちく言葉」の応酬になってしまいます。

こうした環境にいつも身を置いていると、人々はいつも緊張し、言葉の奇襲から防衛する方法や言葉の凶器を使って戦う方法を常に考えていかなければなりません。

誰にでも不快になる瞬間は訪れます。そのとき、すぐに「ちくちく言葉」をぶつけてその場の気持ちを治めようとするのか、一度感情をぐっとこらえて、「ふわふわ言葉」を探し、ポジティブな雰囲気をつくることを目指すのか――あなたならどちらを選びますか?

(文:大美賀 直子)

© 株式会社オールアバウト