テーマは多摩川の「渡し場」 川崎でサミット

 都県境を流れる多摩川の「渡し場」をテーマにしたサミットが23日、川崎市高津区の大山街道ふるさと館で開かれた。市民ら約70人が参加し、街道の往来や生活の足に使われていた渡し舟の歴史、地域での復活の取り組みが紹介された。

 川崎市域の多摩川にはかつて20カ所ほど渡し場があったが、架橋などで1973年までに廃止。歴史を伝え、まちの活性化にもつなげようと市がサミットを企画した。今回で2回目。

 宇奈根(高津区)では2014年から、対岸にある東京都世田谷区立喜多見児童館を利用する小学生が中心となって渡しを復活。地元の大学生の協力も得ながら河川敷に出店を出すなど、年々盛り上がっている様子を当事者の子どもたちが紹介した。二子(高津区)と丸子(中原区)でも年に1日復活させており、両主催者は「天候に左右される難点もあるが、新旧の住民同士だけでなく、対岸の東京側との交流も生まれている」と効果を話した。

 郷土史研究家も基調講演し、渡しの歴史を解説した。登戸(多摩区)での復活を考えている、地元の若手有志「登戸そだて隊」の代表は「渡しの歴史とノウハウを知れて良かった。来年中には企画したい」と意気込んでいた。

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