若き情熱つなぐ 全日本実業団女子駅伝26日号砲

 第37回全日本実業団対抗女子駅伝大会は26日、宮城県の松島町文化観光交流館前から弘進ゴムアスリートパーク仙台までの6区間(42・195キロ)で行われる。全国22チームによる駅伝女王の称号を懸けた激戦に、神奈川からパナソニック(18年連続29度目)が出場。10月の予選会を2位通過と勢いに乗る若きチームは、8位以上に与えられるシード権も射程に捉える。パナソニック(18年連続29度目)自主性高まり成長 ぐっと若返った。23歳の内藤が新たに主将を担い、予選会に臨んだ6人の平均年齢は20・6歳。高卒ルーキー3人も台頭の機をうかがう気鋭のチームが、旋風を巻き起こそうとしている。

 予選会では序盤から席巻した。2区で新人の渡邊、3区で3年目の堀が区間賞を獲得してトップに立つと、終盤まで激しい競り合いの主役となる。最終6区で突き放されたものの、レースの主導権を握ったのはパナソニックだった。

 「伸び伸び走ればいいと伝えたが、思った以上に頑張ってくれた」と安養寺俊隆監督(52)。内藤も「若さだけではない」と自信を見せる。

 目覚ましい成長を遂げているのが22歳の森田香織、詩織姉妹と21歳の堀だ。6月の日本選手権では5000メートルで森田香が8位、1万メートルで堀が5位とそろって入賞。国際経験も積みレース運びにも安定感が出ている。

 「昨年より3〜4割力は増している」。指揮官の手応えは自主性が下支えしている。主将内藤を中心に選手間のミーティングが増加。さらに、森田香が8月に1カ月間で千キロ走破すると宣言すると、その背中に後輩たちも続き堀、渡邊も月間千キロを走り切った。

 来年のシード権が懸かる8位以内も視野に入るが、狙うのはその先だ。「8位を目指していては駄目。3位以内を目標にやっていく」と内藤。若い情熱はほとばしっている。充実の18歳 大舞台挑む渡邊 菜々美 18歳が胸のすくような快走を見せた。2区を任された10月の予選会。「監督からも伸び伸び走ればいいよと言ってもらった。躊躇(ちゅうちょ)するより、いけるときにいこうって」。玄界灘から吹き付ける強風に負けず、渡邊はマイペースにピッチを刻んでいった。

 2位で受けたたすきをトップでつなぐと、区間賞のおまけ付き。「次の先輩につながなきゃって思っていたのでびっくり」。初々しくはにかむルーキーは成長期の真っただ中にいる。

 神奈川から県境をまたいだ先の静岡県函南町出身。実家から程近い沼津市の加藤学園高での3年間はけがに泣いた。県高校駅伝では3年間エース区間の1区を任されるも優勝には導けず。「けがが多くて落ち込む時期が多かった」。それでも、原石はきらりと光っていた。

 「長い距離でもバテない走り方ができていた。それに、1区が好きという闘争心も」と安養寺監督。入社後の半年間じっくりと体をつくり、迎えた最初の駅伝シーズン。3000メートルの自己ベストは20秒以上縮まった。

 実りの秋。体全体を包む充実感とともに、いよいよ大舞台へ挑む。「一番自信を持って走れるのは2区(3・9キロ)。そこで今の力を全部出し切ったときに貢献できるのかな」。トップランナーたちが競う未知の世界。恐れず、突き進むだけだ。

 わたなべ・ななみ 静岡・加藤学園高では3年連続で県高校駅伝の1区を走り、2年時には区間賞を獲得。全国都道府県対抗女子駅伝では2016年に5区で区間9位だった。152センチ、39キロ。静岡県出身。優勝争い混戦か日本郵政Gが中心 昨年、創部3年目で初制覇した日本郵政グループが優勝争いの中心だが、混戦が予想される。

 日本郵政グループは世界の大舞台を経験している3人が柱。3年連続で五輪、世界選手権代表となっている鈴木亜由子を軸に、今夏の世界選手権出場の鍋島莉奈、リオデジャネイロ五輪代表の関根花観が力を出し切れば連覇に近づく。

 昨年はたすきの受け渡しミスで失格となった豊田自動織機も力がある。今年の予選会はトップ通過。長い距離への不安がなくなった成長株の福田有以を3区(10.9キロ)に据えて上位を狙う。ユニバーサルエンターテインメントは鷲見梓沙の安定感が増し、チームの調子も上向き。昨年6区区間賞の西原加純らが引っ張るヤマダ電機、世界選手権代表の松田瑞生と左脚故障から復活した前田彩里を擁するダイハツ、アジア選手権1万メートル2位の堀優花のいるパナソニックも力がある。

 3区で3年連続区間賞の高島由香(資生堂)やリオ五輪マラソン代表の福士加代子(ワコール)の走りも見逃せない。

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