“幽霊ビル”解体完了 いわく付き再開発用地 伊勢原駅北口

 5年近く入居店舗がなく“幽霊ビル”と呼ばれてきた小田急線伊勢原駅北口にある「つゆきビル」(伊勢原市伊勢原)の解体が21日に完了し、更地となった。所有権を巡って殺人事件も起きたいわく付きの建物で、都市計画道路と駅前広場に生まれ変わる。

 市によると、ビルは1974年に完成。鉄筋コンクリート8階建てで、敷地面積約350平方メートルだった。

 市は90年、ビル前の市道拡幅を含む再開発事業が都市計画決定されたことから、ビル購入の方針を決定した。ところが、買収話がトラブルとなり、96年、当時土地を所有していた組合の代表者だった市内の男性が失踪。

 後に指定暴力団住吉会系元会長の男=別の殺人罪で死刑確定=が男性の殺害を告白し、昨年4月に市内の山中から遺体が発見された。

 一方、ビルは2012年9月からテナントが撤退し、無人に。昨年10月、所有権を巡る訴訟で判決が確定し、市は土地所有者から、計2億5千万円で購入することになった。解体は7月に始まっていた。

 24日の定例会見で、高山松太郎市長は「長い間、大勢の人が苦労してきた。ほっとしている」と話した。

© 株式会社神奈川新聞社