自動運転への理解深めて 藤沢でフォーラム

 自動車メーカーやIT(情報技術)企業などが注力する自動運転への理解を深めるフォーラムが25日、藤沢市の慶応大湘南藤沢キャンパスで開かれた。公共交通や物流の事業者も交えて実用化や新サービスの展開に向けた県内の取り組みを紹介し、早期実現の可能性を展望した。

 パネルディスカッションでは、日産自動車(横浜市西区)、神奈川中央交通(平塚市)、IT大手のディー・エヌ・エー(DeNA)、宅配便大手のヤマト運輸の担当者が登壇。自動運転社会の未来図や実現への課題などをテーマに意見交換し、実証フィールドの確保やニーズの把握などで行政との連携が不可欠との認識で一致した。

 日産は昨夏以降、高速道路の単一車線で自動運転できる独自技術を搭載した新型車を投入。無人運転の実証実験ではDeNAと協力している。2022年に市街地での完全自動運転を目指す行程表を示した日産モビリティ・サービス研究所の藤本博也さんは「ここ10年で技術は劇的進化を遂げる。受容する環境整備が急務」と指摘した。

 藤沢市では、ヤマト運輸とDeNAが自動運転を想定した「ロボネコ」と呼ばれる配送や買い物代行サービスの実証を進めている。「ドライバー不足の解消につながる」(ヤマト運輸)、「移動コストを低減し、買い物弱者や過疎地の高齢者の利便性が高められる」(DeNA)などと利点をアピールした。

 神奈中の大塚英二郎事業推進グループ課長は、バス運転手の高齢化や大型運転免許取得者の減少傾向を踏まえ「安全性を担保した上で、自動運転車両の導入を模索したい」と述べた。

 フォーラムは県と同大の共催で約140人が参加した。日産が全面改良して10月に発売した電気自動車・リーフに搭載された自動駐車システムの体験会なども行われた。

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