近年の低迷はドラフト不作も要因? 中日過去10年のドラフト査定

2015年ドラフト1位の小笠原慎之介【写真:荒川祐史】

2013年以降Bクラスに低迷する中日、ドラフト不作も影響?

 2001年から2012年までの12年間でリーグ1位4回、2位5回、3位2回と安定した強さを維持してきた中日ドラゴンズだが、2013年以降は毎年Bクラスと低迷している。それは近年のドラフトの不作によるところが大きいと言われているが、それを検証してみよう。

※は現時点での現役選手

○2008年
1位・野本圭 外 日本通運・441試184安9本82点1盗 打率.225※
2位・伊藤準規 投 岐阜城北高・5勝11敗0S9H 防御率3.94※
3位・岩崎恭平 内 東海大・144試49安5本10点12盗 打率.231、オリックスへ※17年オフ戦力外
4位・高島祥平 投 帝京高・0勝0敗0S0H 防御率45.00
5位・岩田慎司 投 明大・9勝15敗0S1H 防御率3.72
6位・小熊凌祐 投 近江高・8勝7敗0S5H 防御率4.85※
7位・井藤真吾 外 中京大中京高・4試0安0本0点0盗 打率.000
育1位・加藤聡 外 大産大・(1軍出場なし)
育2位・小林高也 外 東京弥生クラブ・(1軍出場なし)、巨人へ

 2008年のドラフトで獲得した選手のうち、野本、伊藤、小熊が現役だが、主力級の実績を残した選手はいない。岩崎はオリックスに移籍したが、今季戦力外となった。

○2009年
1位・岡田俊哉 投 智辯和歌山高・13勝16敗3S46H 防御率3.09※
2位・小川龍也 投 千葉英和高・1勝3敗0S13H 防御率2.98※
3位・中田亮二 内 亜大・80試20安0本3点1盗 打率.202
4位・松井佑介 外 東農大・276試113安8本44点1盗 打率.237※
5位・大島洋平 外 日本生命・1029試1107安21本186点166盗 打率.284※
6位・諏訪部貴大 投 Honda・(入団せず)
7位・松井雅人 捕 上武大・281試103安3本31点6盗 打率.178※
8位・吉田利一 捕 奈良産大・(1軍出場なし)
育1位・矢地健人 投 高岡法科大・0勝0敗0S3H 防御率3.93ロッテへ
育2位・赤田龍一郎 捕 愛知大・5試0安0本1点0盗 打率.000

 この年は当たり年だった。攻守に中心選手となった大島洋平が5位で入団。貴重な中継ぎ左腕の岡田、今季は代打で活躍した松井祐介、ほぼ正捕手だった松井雅人と、活躍した選手が多かった。中田亮二は、107キロの巨漢。おかわり君こと中村剛也二世の期待がかかったが不発に終わった。

○2010年
1位・大野雄大 投 佛教大・49勝50敗0S2H 防御率3.29※
2位・吉川大幾 内 PL学園高・131試27安0本6点5盗 打率.200巨人へ※
3位・武藤祐太 投 Honda・9勝6敗0S14H 防御率3.59、DeNAへ※
4位・森越祐人 内 名城大・78試5安0本1点1盗 打率.109阪神へ※
5位・関啓扶 投 菰野高・(1軍出場なし)

 この年は5人しか指名せず。現在チームの戦力となっているのは1位指名で入団した左のエース大野のみとなっている。

2014年ドラフト1位野村はわずか3年で戦力外

○2011年
1位・高橋周平 内 東海大甲府高・335試223安23本101点2盗 打率.235※
2位・西川健太郎 投 星稜高・2勝6敗0S0H 防御率5.37
3位・田島慎二 投 東海学園大・22勝33敗60S91H 防御率2.99※
4位・辻孟彦 投 日体大・0勝0敗0S0H 防御率4.58
5位・川崎貴弘 投 津東高・0勝0敗0S0H 防御率9.00
6位・宋相勲 投 韓国・信一高・(1軍出場なし)

 1位指名された高橋周平は、中軸を打つことが期待された好素材だがいまだに伸び悩み。しかし3位の田島がクローザーとして安定した成績を残している。

○2012年
1位・福谷浩司 投 慶大・7勝12敗38S49H 防御率3.53※
2位・濱田達郎 投 愛工大名電高・5勝7敗0S0H 防御率5.07※17年オフ自由契約
3位・古本武尊 外 龍谷大・16試3安0本0点 0盗 打率.167※17年オフ戦力外
4位・杉山翔大 捕 早大・207試104安6本45点2盗 打率.213※
5位・溝脇隼人 内 九州学院高・20試2安1本1点0盗 打率.091※
6位・井上公志 投 シティライト岡山・1勝1敗0S0H 防御率4.50
7位・若松駿太 投 祐誠高・18勝17敗0S1H 防御率3.40※

 慶應出身の頭脳派投手と言われた福谷は中継ぎ投手として活躍。杉山翔太は二番手捕手。若松俊太は2015年に10勝したが、成績は尻すぼみだ。

○2013年
1位・鈴木翔太 投 聖隷クリストファー高・5勝5敗0S0H 防御率4.33※
2位・又吉克樹 投 香川オリーブガイナーズ・29勝16敗2S91H 防御率2.54※
3位・桂依央利 捕 大阪大・106試50安5本18点1盗 打率.202※
4位・阿知羅拓馬 投 JR東日本・0勝1敗0S0H 防御率3.62※
5位・祖父江大輔 投 トヨタ自動車・2勝11敗2S34H 防御率3.05※
6位・藤澤拓斗 内 西濃運輸・(1軍出場なし)
育1位・岸本淳希 投 敦賀気比高・(1軍出場なし)※17年オフ戦力外
育2位・橋爪大佑 内 大商大・(1軍出場なし)

 独立リーグ出身者としては最上位の2位で指名された又吉は、今や先発、救援で使える投手陣の柱になりつつある。祖父江もセットアッパーとして働いている。

○2014年
1位・野村亮介 投 三菱日立PS横浜・0勝0敗0S0H 防御率10.13※17年オフ戦力外
2位・浜田智博 投 九産大・0勝0敗0S0H 防御率40.50※17年オフ自由契約
3位・友永翔太 外 日本通運・24試7安0本2点2盗 打率.163※
4位・石川駿 内 JX-ENEOS・11試6安1本1点0盗 打率.273※
5位・加藤匠馬 捕 青学大・5試0安0本0点0盗 打率.000※
6位・井領雅貴 外 JX-ENEOS・44試13安1本4点1盗 打率.186※
7位・遠藤一星 内 東京ガス・118試72安6本28点6盗 打率.238※
8位・山本雅士 投 徳島インディゴソックス・0勝0敗0S0H 防御率10.38※
9位・金子丈 投 大商大・0勝0敗0S0H 防御率4.91※
育1位・佐藤雄偉知 投 東海大相模・(入団せず)
育2位・石垣幸大 投 いなべ総合高・(1軍出場なし)
育3位・藤吉優 捕 秀岳館高・(1軍出場なし)※
育4位・近藤弘基 外 名城大・35試14安3本5点0盗 打率.194※

 問題になるのがこの年だ。落合博満GM(当時)の肝いりで1位指名した野村亮介は、わずか3試合の登板で、今年戦力外となった。2位の浜田も自由契約として公示された。最上位指名の選手がわずか3年で消える結果に。一番下、育成4位で獲得した近藤弘基は中日のレジェンドであり今も投手コーチを務める近藤真市を父に持ち、支配下登録されすでに3本塁打と頭角を現している。

小笠原は2年目に5勝、京田は今季新人王獲得

○2015年
1位・小笠原慎之介 投 東海大相模・7勝14敗0S0H 防御率4.28※
2位・佐藤優 投 東北福祉大・3勝0敗0S3H 防御率4.24※
3位・木下拓哉 捕 トヨタ自動車・60試20安1本6点0盗 打率.208※
4位・福敬登 投 JR九州・1勝2敗0S4H 防御率5.14※
5位・阿部寿樹 内 Honda・46試20安1本6点2盗 打率.222※
6位・石岡諒太 内 JR東日本・2試0安0本0点0盗 打率.000※
育1位・中川誠也 投 愛知大・(1軍出場なし)
育2位・吉田嵩 投 徳島インディゴソックス・(1軍出場なし)※
育3位・三ツ間卓也 投 武蔵ヒートベアーズ・2勝1敗0S11H 防御率4.06※
育4位・西浜幹紘 投 星城大・(1軍出場なし)※
育5位・呉屋開斗 投 八戸学院光星高・(1軍出場なし)
育6位・渡辺勝 外 東海大・(1軍出場なし)※

 この年も12人と多くの選手を取った。甲子園で活躍した1位の小笠原は今季、ローテの一角を担って5勝をマーク。主戦級までもう少しのところにいる。育成3位の三ツ間卓也は、今季11ホールドと活躍した。

○2016年
1位・柳裕也 投 明大・1勝4敗0S0H 防御率4.47※
2位・京田陽太 内 日大・141試149安4本36点23盗 打率.264※
3位・石垣雅海 内 酒田南高・1試0安0本0点0盗 打率.000※
4位・笠原祥太郎 投 新潟医療福祉大・1勝3敗0S0H 防御率3.14※
5位・藤嶋健人 投 東邦高・(1軍出場なし)※
6位・丸山泰資 投 東海大・0勝0敗0S0H 防御率8.25※
育1位・木下雄介 投 徳島インディゴソックス・(1軍出場なし)※

 なんといっても京田の活躍だろう。いきなりレギュラー遊撃手となって、新人では球団新の149安打。新人王を獲得した。一方、1位の柳は1勝にとどまった。

○2017年
1位・鈴木博志 投 ヤマハ
2位・石川翔 投 青藍泰斗高
3位・高松渡 内 滝川二高
4位・清水達也 投 花咲徳栄高
5位・伊藤康祐 外 中京大学中京高
6位・山本拓実 投 市西宮高
育1位・大藏彰人 投 徳島インディゴソックス
育2位・石田健人マルク 投 龍谷大

 中日のドラフトを見ていくと、即戦力を期待される社会人出身で、活躍する選手が少ないことがわかる。社会人出身の多くは20代半ばで入団するため、活躍できる期間が短い。それだけに見極めが大切だろう。

 今季のドラ1の鈴木博志は高校から社会人でまだ若い。侍ジャパンアジア選手権にも選ばれているが、プロの世界で活躍できるだろうか。

(Full-Count編集部)

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