このイライラ、憂鬱感は夫のせい? 「主人在宅ストレス症候群」とは

大切なパートナーであるはずの夫が、妻のストレスの原因になっている恐れがあります。現在「夫源病」とも呼ばれている主人在宅ストレス症候群について、詳しく解説します。

「夫が家にいる」ことがストレスに

平日は奥さんに見送られて仕事に。休日は助手席に奥さんを乗せてお出かけ。近所の目にも仲睦まじく映っていた夫婦は、夫の定年退職後も、末永く仲良く暮らしました……という幸せな人生を、すべての夫婦が送れるわけではありません。

定年退職後に限らず、夫が一日中家にいて、あれこれと言ってくるのは、妻にとっては少なからずストレスになるようです。場合によっては、心身に変調が生じ、いわゆる「主人在宅ストレス症候群(夫源病)」を発症してしまうケースがあります。詳しく解説しましょう。

主人在宅ストレス症候群(夫源病)の原因・特徴

主人在宅ストレス症候群は、「夫源病(ふげんびょう)」とも言われ、その名のとおり夫が家にいることによって、妻にストレスが生じる病気です。男性からすると、あたかも自分が家にいてはいけないような印象を受けるかもしれません。

とはいえ、夫が妻に文句を言うのは禁物。まずは、妻がストレスを覚える理由を充分理解したいものです。もし夫が長年に渡って、平日は夜遅くまで仕事に追われ、週末も接待ゴルフに出かけるなど、家族団欒の時間を犠牲にした生活をしていた場合、妻は妻なりに、夫抜きで快適に過ごすためのライフスタイルを完成させているものです。

それがある日を境に、夫が日中、家にデンと鎮座して、自分にあれこれ言ってくるようになる……妻にとっては考えたくもないことでしょう。夫の退職日をXデーと呼んで、戦線恐々としている妻たちも少なくありません。

夫の退職に限らず、新居への引越しなど本来喜ばしいことであっても、環境の変化は心身に大きな負担になります。まして長年に渡って築いてきた自分なりに快適なライフスタイルが、夫の存在によって一変するとなると、症状の軽重はあれ、誰にでも何らかの不調が生じやすくなります。症状がひどい場合、うつ病などより深刻な心の病気にも目を光らせる必要があります。

主人在宅ストレス症候群の症状

主人在宅ストレス症候群では、夫の在宅時間が増えることに伴って、妻に以下のような症状が生じます。

・冴えない気分

・強いイライラ感

・高血圧

・突然の動悸、息苦しさ

・頭痛、肩こり

・消化器潰瘍

・免疫力が低下して、風邪をひきやすい

・下痢、便秘、下腹部の張りなどの、過敏性腸症候群

主人在宅ストレス症候群の予防法・治療法

主人在宅ストレス症候群の治療法は、夫の在宅から生じるストレスへの対処法を向上させ、心身の不調症状に対処していくことです。しかし何といっても、まずは予防が肝心。

退職など大きなイベントがはっきりしている場合、退職前にも夫が一日家にいる日を何度か作るなど、予行演習をしてみるのも良いと思います。また、夫側は、先に退職した先輩に参考になりそうなことを教えてもらうことも有効。妻側は妻側で、ご自分のネットワークを通じて、周りの方たちのストレス対処法などの情報収集をしておきたいものです。

いざXデーが来て、それでも問題が生じてしまった場合は、つい感情的に「別れる!」と言いたくなるかもしれません。しかし極端な結論に走る前に、まずは問題の解決策を探るべきです。

小さなことでも夫が妻にあれこれと言いつけてしまう場合、夫は妻のストレスが溜まっていくことを理解する必要があります。夫が昼間、外で自分だけの活動を見つけることが最終的な解決策になることもあるでしょう。

夫が妻の言葉にまるで耳を貸すことができない場合、精神科(神経科)、カウンセリングルームを夫婦一緒に受診し、専門家からのアドバイスを受けるのも良いと思います

もしも夫の在宅ストレスがきっかけになって、妻がうつ病や心身症などの心の病気を発症した場合、薬物療法なども検討する必要が出てきます。心身の不調が2週間以上続いているようなら、精神科(神経科)の受診も検討してみてください。

(文:中嶋 泰憲)

© 株式会社オールアバウト