施設跡地に市民スペース 川崎区役所移転見直し

 川崎市は22日、富士見公園を含む富士見周辺地区(川崎区)の整備計画について、市教育文化会館と県立川崎図書館の敷地で計画されていた市民館機能と区役所の複合化を見直す方向性を明らかにした。広く市民利用できるスペースや、市立富士見中学校のグラウンド確保に向けた検討を進める。公園管理には民間活力を導入し、まちのにぎわい創出と効率的な運営を目指す考えだ。

 川崎図書館は12月に休館し、来年5月にかながわサイエンスパーク(KSP、高津区)へ移転。隣接する市教育文化会館の大ホールは来年3月に閉鎖し、会議室などの市民館機能が残る。当初の計画では、庁舎の狭い区役所を両施設の敷地に移し、市民館機能との複合化も図るとしていたが、市税部門が移転したことで一定の課題が解消。区役所移転の緊急性が低下したため、計画を見直す。

 緑地が少ないという課題も踏まえ、将来的には図書館と同会館を解体し、市民が広く利用できるオープンスペースとしての活用を検討する。隣接する富士見中のグラウンドも狭く、ここ10年ほどで生徒数が約100人増加。さらに広い面積が必要となっており、グラウンド機能との両立を考えている。

 川崎駅に近い同地区では、公園本来の緑地や広場が少なく、老朽化や耐震性に課題のある施設も多かったため、市は2008年に同地区整備基本計画を策定。11年に実施計画を策定し、約10年間の整備スケジュールをまとめた。これまでに、旧川崎球場をアメリカンフットボールなども行える長方形の球技場に整備したほか、老朽化した市体育館を取り壊し、体育館機能と大ホール機能を併せ持った市スポーツ・文化総合センターをオープン。川崎競輪場のコンパクト化も進めている。

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