きょうにも岩国移駐へ 厚木の米艦載機主力30機

 防衛省南関東防衛局は26日、米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)に駐留する主力空母艦載機の岩国基地(山口県)への移駐が27日ごろから始まると、米側から情報提供があったと発表した。移駐するのはFA18戦闘攻撃機2部隊と、EA18G電子戦機1部隊の約30機。8月までにE2D早期警戒機5機が移駐しており、計約60機の計画のうち、半数以上の移駐が完了することになる。

 移駐するのは、いずれも米海軍横須賀基地を拠点とする原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機。天候などの状況で日程を変更する可能性があるという。

 今後はFA18戦闘攻撃機とC2輸送機の計25機程度が移駐する見通し。FA18戦闘攻撃機は来年5月頃の予定で、22日に太平洋上の沖ノ鳥島沖で墜落事故を起こしたC2輸送機の移駐は当初、来年1月ごろの予定だったが、時期は調整中という。移駐は日米両政府が2006年に合意した米軍再編の一環。在日米海軍司令部は8月、移駐後も空母艦載機が訓練、給油、整備のため、厚木基地を「折に触れて使用する」と明言していた。

 第5次厚木基地爆音訴訟原告団の大波修二団長は米軍が厚木基地の折に触れた使用に言及していることに触れ、「いよいよ始まるが実際に騒音が軽減されるかは分からない。艦載機が(騒音で)国内をかき回す状況になるのではないか。気が重い」と表情は硬い。

 市民団体「基地撤去をめざす県央共闘会議」の矢野亮事務局次長は、岩国基地駐留の米軍機がこれまでにも厚木基地に飛来していたことなどから、「騒音軽減は期待していない。移駐後の運用が分からないだけに、今まで以上にきちんと見ていかなければならない」とした。

 大和市の大木哲市長は「市民の負担軽減に確実に結び付くよう期待する」とし、「移駐完了後の空母艦載機の運用や厚木基地周辺の騒音状況などについて早急に明らかにしてほしい」とコメント。綾瀬市の古塩政由市長も「騒音の軽減を期待し、引き続き移駐が確実に行われるよう求める」。黒岩祐治知事は「移駐完了までの間も騒音軽減や事故防止に最大限努力するよう求める」とした。

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