聴覚障害児の未来描こう 社会人や大学生ら体験談

 聴覚障害児の教育と未来を考える催し「つながろう!川崎のきこえない・きこえにくい子どもたちのために」が26日、川崎市立聾(ろう)学校(同市中原区)で開かれた。聴覚に障害がある大学生や社会人が進学や就職について経験談を話し、保護者ら約130人が耳を傾けた。

 主催は、市内の難聴児やろう重複障害児を持つ親の会など5団体でつくる実行委員会。聴覚障害児を持つ家族がつながれる場として始まり、7回目を迎えた。

 「今より少し先の姿を想像してみよう!」をテーマに、人生の先を力強く歩く先輩の姿を子どもの成長に生かそうと企画された。

 聴覚と視覚の重複障害がある長友孝樹さん(23)=平塚市=は、小中高を県立平塚ろう学校で学び、現在は地域作業所で働く。最初は職場の仲間とうまくいかず、聾者の先輩から「知的障害の方と聾者と身につけてきたことが違うんだよ」と諭されたことや、職場仲間が手話に興味を持ってくれて仲良くなれた話を手話で紹介。「1人で暮らせるよう訓練して自立したい」との目標も話した。

 人工内耳を装用する大学4年生の上田莉緒さん(22)=川崎市=は、通常学級に在籍しながら必要に応じて支援を受ける「通級指導」を受けながら地域の小中学校で学んだ。障害をからかわれた時、母親が悩みを聞いてくれて救われた経験も披露。来春に障害者採用枠で化粧品会社への就職が決まっており、「就職活動では自分が活躍できるために必要となることも含めて会社にアピールした」と振り返った。

 幼い子を持つ保護者らは進学や学校での悩みに関する対処方法などを熱心に質問していた。

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