【三菱マテ子会社の品質不正問題会見要旨】2子会社、年内めどに調査報告

 三菱マテリアルの品質データ書き換え問題で24日の記者会見に出席した竹内章社長、小野直樹副社長、村田博昭三菱電線工業社長、堀和雅三菱伸銅社長の主なやり取りは次の通り。

――問題の背景は。また両社で不正が始まった時期は。組織ぐるみの不正だったのか。

竹内「社外の弁護士を含めた調査委員会による結果を待ちたい」

――調査委員会のメンバーは。

小野「三菱電線ではシール事業に携わっていない坂本耕治常務が委員長で、外部弁護士2人が入ってスタートしている。三菱伸銅は生産ラインにタッチしていない岩野功副社長が委員長。これに弁護士も加えた体制をとっている」

――原因究明と再発防止策はいつごろまでに。

小野「伸銅は年内に調査が完了する見込みだが、電線はアイテム数が多く、製造プロセスが複雑なため、年内完了は難しい。年内に伸銅の調査結果と電線の進捗状況を報告する。省庁への報告も12月末が一つのタイミングだろう」

――三菱電線で不正が発覚したのは2月、経営陣に報告されたのは3月。その後、半年以上も不正品を出荷していた。この半年間、なぜ報告しなかったのか。

村田「当社の製品アイテム数は10万点あり、常時4万点が流れている。不適合品の調査、分析を行うに当たり、一つずつチェックして、逸脱がある場合は度合いも調べた。専門知識が必要なため人手も限られた。10月にやっと範囲が特定でき、23日に出荷停止を指示し、25日に親会社に報告した。時間を掛けてしまったことは深くおわびする」

――安全はどれほど担保されているのか。

村田「大多数の製品は製品寿命が2~2年半で、取り換えになる。不適合品についてお客様からのクレームは現在のところない」

堀「不適合だった銅条はほぼすべてが顧客側で加工されて自動車などに搭載される。直接のお客様と協力して一日も早く安全確認したい」

――なぜ三菱アルミニウムの件で内容を開示しないのか。

竹内「すべてお客様にご報告し、安全性が確認された解決済みの案件であるため詳細は公表しないが、分野については輸送関係や電気、建材関係など。不適合品の出荷先は16社で総売上高の0・3%に相当する。昨年11月の当社の社内監査で発見され、その後、不適合品を特定し、お客様に報告して安全確認を行った」

――三菱アルミの問題はすでに顧客との間で解決したというが、その発生の原因はどう考えているか。

竹内「コンプライアンス意識が欠如していたことが一つ」

小野「再発防止策では、ハード面で検査データ記録の自動化が可能なシステムの導入を進めている」

――三菱マテリアルは事業が幅広い。子会社から情報が上がってこない風土があるのでは。

竹内「社内カンパニー制で一定の決裁権限を与えている。迅速に機能する面もある。ただ組織の壁が高くなっているので、カンパニー間の連携や人の流動化に取り組んできた。風通しを良くする施策は今後も取り組んでいく」

――経営責任について。

竹内「今やるべきことは、両社が早期の問題解決と再発防止策を実行するよう弊社が指導、支援すること。2社にとどまらずグループ全体の品質管理体制を拡充させることが私の責任だと考えている」

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