三浦半島観光再興 キョウイモを名物に

 三浦市・城ケ島産のキョウイモを同島の新たな観光資源にしようと、地元で期待が高まっている。島の地野菜を中心に農作業を続ける市民団体「城ケ島野菜をつなぐ会」(10人)が栽培し、同島で今月開かれたイベントで参加者に試食してもらったところ、評判は上々。城ケ島観光協会の青木良勝会長は「キョウイモを島の名物にしたい。秋にはこの食材でイベントもやりたい」と話している。

 つなぐ会によると、キョウイモはサトイモの一種。長さ20〜50センチ、直径5〜10センチになる円筒状の親イモを収穫し、子イモや孫イモは種イモとなる。つなぐ会は3年前、耕作をやめた地元の女性から種イモを譲り受けた。関東ではあまり出回っておらず、なじみがないためサトイモと思い込み、「サトイモは子イモや孫イモを収穫するもの」と考えて親イモを畑の脇に捨てていた。

 昨秋、収穫期に地元のお年寄りから親イモが食材になることを教えられ、これが宮崎県を主産地とするキョウイモと分かった。お年寄りらに聞くと、三浦市内の農家が種イモを保管し、数年前に城ケ島に持ち込まれたとみられるものの、詳しい経緯ははっきりしない。

 つなぐ会は今年、作付面積を昨年の2倍に広げ、11月4日に三浦半島地域活性化協議会などが開催した城ケ島清掃イベントの参加者に振る舞った。素材の味を生かすため湯がいて輪切りにし、塩を振りかけただけのシンプルな料理だったが、「やさしい甘みがある」「きめが細かく品のある味」と好評だった。

 同島で民宿を営む青木会長は「キョウイモは煮崩れしにくく、マグロの卵などと一緒に煮物にしてもおいしい。通常のサトイモのようなぬるぬるした粘りがないため、スイーツなどにも加工しやすい」と話す。

 昨春、つなぐ会が栽培した島特産のソラマメを使った料理コンテストが行われたが、青木会長は「キョウイモを食材にした料理コンテストも開きたい。島の名物をさらに増やしていければ」と意欲をみせる。

 つなぐ会の柳澤正和さんは「来春植える種イモは今年の10倍以上確保した。できる限り観光振興に協力したい」と話している。

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