金属行人(11月28日付)

 大相撲の九州場所は横綱白鵬の通算40回目の優勝で幕を閉じた。ただ世間の目は横綱日馬富士の暴行事件に向けられており、すっきりしない感じの場所だった▼場所中とはいえ、事件発覚後に当事者たちはノーコメントを貫いた。一方、後援会の関係者や「最近当人と話した」というような外野がワイドショーであれこれしゃべるから、余計に真相究明が難しくなる▼角界以外でも、最近は神戸製鋼所や三菱マテリアルの品質・性能データ改ざん、日産自動車の無資格検査問題など残念なニュースがメディアをにぎわす。どれも「何かを隠そう、誰かをかばおう」とするあまり、うそをついたり当事者たちが何もしゃべらないということでは共通しているように思う。その状況で外野が言いたい放題だと、どんどん問題が本筋とかけ離れてミスリードされていく▼信用や信頼を構築するのには長い時間がかかるが、壊すのは簡単だ。壊した信頼を再構築するのには大変な労力と時間を費やす▼白鵬が言うように「真実を話し、膿を出し切る」ことができるか。各問題とも外野の声に一喜一憂することなく、一刻も早い当事者たちによる真相究明と問題解決、信用・信頼回復を願うばかりである。

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