山形大学が新技術、電子レンジで自動車触媒からプラチナ回収

 山形大学はこのほど、電子レンジで自動車触媒からプラチナ(白金)を回収する技術を開発したと発表した。これまで時間・コストのかかっていた使用済み自動車用触媒からのプラチナ類の溶解と回収に対し、(1)酸溶液・酸素濃度をコントロールし、電子レンジでマイクロ波を照射することにより短時間でプラチナ類を溶解できること(2)溶かした溶液からプラチナ類を還元回収する際にもマイクロ波を照射することで迅速に粉末として取り出せることを明らかにした。

 これにより特殊な設備や運送コストをかけずに、解体現場の近くで迅速・低コストでプラチナ類を回収可能であり、国内の市場に提供できるとみられている。

 日本では廃棄自動車のリサイクルが義務化されているが、リサイクル困難なものにセラミックを主体とする自動車用触媒(排気ガスを浄化する装置)がある。現状では粉砕した素材が集積され、溶解・製錬工程により白金類が回収されているが、粉砕工程によりプラチナ類以外の部分も回収されてしまうことや工程が多く時間やコスト面での課題があり、より簡易な白金類回収技術が要求されていた。

 山形大学では、担体ごと粉砕していない自動車用触媒を雰囲気ガスと酸により酸化還元雰囲気を調整。家庭用電子レンジでのマイクロ波分解法によるプラチナ類の迅速な溶出と回収方法を検討していた。

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