「もばらドローンEXPO2017」盛況! 講演に拍手、デモフライトに歓声、体験会に行列  ドローンの活用を模索する千葉県茂原市は11月25日、市内のショッピングセンターで「もばらドローンEXPO2017」を開催した。業界団体、企業、スクール各界第一人者による講演のほか、ドローンの飛行披露、体験飛行などが行われ、会場を盛り上げた。

ブルーイノベーション熊田社長、JUIDA副理事長ら第一人者が最新動向を講演

 「もばらドローンEXPO」はドローンの活用を模索する茂原市が、市民がドローンに親しみ、知識を身に付ける場として初めて開催したもので、事業創出や地域振興を目指している。全体監修を一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が、企画・運営を、ドローンのソシューション開発を手掛けるとブルーイノベーション株式会社(東京)が担った。
 講演では、JUIDAの千田泰弘副理事長が「次世代ドローンの動向と地域活性化について」、プロポ製造大手として知られる地元の上場企業、双葉電子工業株式会社(茂原市)が運営する「FUTABAドローンスクール」でインストラクターを務める矢口康平氏が「ドローンパイロットの育成について」、先端技術を活用した産業用やレース用ドローンの開発で知られる株式会社Liberaware(リベラウェア)の閔弘圭(ミン・ホンキュ)CEOが「非GPS型プラットフォーム~産業用小型ドローンを用いた様々な可能性について」、ブルーイノベーションの熊田貴之社長が「ドローンがもたらすビジネスの変化について」、それぞれ30分ずつ講演した。
 この中で千田氏はドローンと地方との関係を「親和性がある」と指摘し、その親和性を活かせる分野として、農林水産業の生産性向上、災害対応の迅速化、過疎地の活性化、土木・建設業のコスト削減など10分野を列挙し「これらが軒並み活性化に結びつく。しかも、それを裏付ける法律もある」と、航空法では災害時であればドローンの飛行に特例が認められていることや、地域未来投資促進法、国土強靱化基本法について言及した。
 ブルーイノベーションの熊田CEOは新開発の「ビジョンセンサー」について、機体が自分の位置をフライトコントローラーに伝送することでGPSに頼れない場所でもドローンの飛行が可能になることを説明。保守・点検が問題化している下水菅の点検で実証実験がスタートしていることなどを紹介し、「実装できれば全国で多発している、下水管腐食に伴う道路陥没事故のソリューションになりうる」と説明した。
 双葉電子工業の矢口氏はパイロット育成の立場から「ドローンには、墜落しない、という信頼性は備わってはいません」と改めて警鐘を鳴らし、「だからこそ人や他人の財産を守ることに敏感にならないいといけない」と訴えた。     
 Liberawareの閔氏は、狭所点検を可能にする技術の開発を、原発の原子炉建屋の点検をしたさいの動画などを示しながら説明。同社が自社開発した「SLAM」と呼ぶ、機体の位置を推定しながら、機体がいる環境の地図の作成をつくる技術で、複雑環境下で自律飛行可能な小型ドローンを開発中で、非GPS化の環境での作業が可能になることを説明し、住居診断などに応用が可能なことを紹介した。

関心を寄せる市民にユーモアを交えて熱心に講演するブルーイノベーションの熊田貴之社長
〝次世代ドローン〟を現在のドローンと比べて説明するJUIDAの千田副理事長
双葉電子工業の矢口氏は人材育成からドローンに寄せられるビジネス面での期待までを語った

デモフライトでササモモさん、Dアカデミー、Lieberawareが登場

 デモフライトも会場となったショッピングセンター内で行われた。ドローンの普及と女性の自立支援を手掛ける「ドローンジョプラス」代表のササモモさん(佐々木桃子さん)が、会場に並んだドローンを紹介。コーンとバーで飛行エリアを設置し安全を確保した中で、ドローンスクール、Dアカデミーのインストラクターが、ササモモさんの司会にあわせて、ドローンをフライトさせた。
 機体をプロペラガードで球体に覆ったドローンや、プロポを使わず手のひらで操作でききるDJI製SPARKが飛ぶと、来場者から歓声があがった。Liberawareも自社開発のひものついた有線給電の小型ドローンを説明しながら飛行させた。
 会場のショッピングセンターには、ドローンジョプラスが子供たちにドローンと触れ合ってもらう体験会場を設置。買物ついでに立ち寄った親子連れが足をとめ、夕方には長い行列ができた。この日、運用を開始したばかりの子供向けのプログラミング教材をお披露目。子供たちの体験を待つ間いに、大人が説明に聞き耳をたてる姿もみられ、ドローンや関連技術に市民から高い関心が寄せられた。

会場となったショピングセンターで開催されたデモフライトに、ドローンジョプラス代表のササモモさん(佐々木桃子さん、右)が司会で登場し、ドローンの解説をしたり、フライトの進行をしたりして盛り上げた。モニターにはドローンのカメラがとらえた会場の様子が映し出された
講演に登場したLieberawareは自社開発の有線給電式の小型ドローンを飛ばしながら解説した
期待全体がガードで覆われた球体ドローンのフライトが会場の目をひいた

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