育成出身者の活躍の裏で…支配下から育成へ“降格”となった選手たち

ソフトバンクと育成契約を結んだ島袋【写真:荒川祐史】

甲子園春夏V左腕、通算454登板の大ベテランらが育成で再出発

 ソフトバンクが2年ぶり8度目の日本一に輝いて幕を閉じた2017年。パ・リーグは日本一の座に立ったソフトバンクが独走でリーグ制覇を果たし、クライマックスシリーズも突破した。セ・リーグは広島が連覇を果たしながらも、クライマックスシリーズではリーグ3位のDeNAが阪神、広島を連破して日本シリーズに進出した。日本シリーズではソフトバンクが4勝2敗でDeNAを下した。

 そんな2017年のシーズン。ソフトバンクでは、千賀滉大投手が春先のWBCに侍ジャパンの一員として出場し、大会ベストナインに輝く活躍を見せた。シーズンでも最高勝率のタイトルを獲得。甲斐拓也捕手は急成長を遂げて主力捕手に定着し、リバン・モイネロ投手はシーズン途中からセットアッパーとして勝利の方程式に組み込まれた。

 さらに、巨人の篠原慎平投手はプロ初登板初勝利を飾るなど23試合に登板。広島のサビエル・バティスタ外野手は初打席から代打で2打席連続本塁打という離れ業を演じた。

 これらの選手の共通点は、いずれも育成選手出身である点。モイネロ、篠原、バティスタは今季途中に支配下を勝ち取った選手である。

 育成選手がチームの主力へと成長を遂げることは、もはや珍しいことではない。2006年に育成選手制度が発足してから12年が経過。多くの育成出身者が1軍の舞台に立つようになった。その輝かしい成長がある一方で、毎年、シーズンオフになると、支配下契約を解除されて育成契約として再契約を結ぶ選手も相当数いる。

 その中には、故障を抱えて、そのリハビリのために一旦支配下契約を解除され、育成契約を結んだケースもある。そこで、ここでは今オフに支配下契約を解除され、育成選手に“降格”となった主な選手を見てみよう。

春夏連覇の鷹・島袋は左肘の手術明け、DeNAの水野はプロ入り1年で…

○島袋洋奨(ソフトバンク)
2017:1軍登板無し
通算:2試合0勝0敗0ホールド0セーブ 防御率0.00

 プロ3年目。興南高時代に甲子園春夏連覇を果たし「琉球トルネード」として脚光を浴びた左腕。中央大を経て、2014年のドラフト5位でソフトバンクに。1年目に1軍で2試合に登板したが、今季は1軍登板無し。8月に左肘の遊離軟骨除去手術を受けたこともあり、育成枠で再契約となった。

○水野滉也(DeNA)
2017:1試合0勝1敗0ホールド0セーブ 防御率5.79
通算:1試合0勝1敗0ホールド0セーブ 防御率5.79

 プロ1年目。札幌日大高から東海大北海道キャンパスを経て、2016年のドラフト2位で入団。5月3日の巨人戦で初登板初先発したが、5回途中3失点で敗戦投手となり、その後右肩痛を発症して、1軍登板はこの1試合のみに終わった。わずか1年で支配下契約を解除され、育成契約で再契約となった。

○巽大介(巨人)
2017年:1軍登板なし
通算:1軍登板なし

 プロ2年目。岩倉高から2015年のドラフト6位で入団。プロ2年間で1軍登板無し。今季はイースタンリーグで9試合に投げて1勝1敗。11イニングで9失点(自責点は4)を喫しており、結果を残せていなかった。プロ入りからわずか2年で支配下契約を解除されて、育成選手として再契約を結んだ。

○日隈ジュリアス(ヤクルト)
2017年:1軍登板なし
通算:1軍登板なし

 プロ2年目。高知中央高校から2015年のドラフト4位で入団したものの、2年間故障続きだった。1年目は左肘関節のクリーニング手術を受けると、2年目の今季5月には左肘のトミージョン手術。全治1年と診断されており、2年間で1軍出場どころか、2軍戦も1試合登板に終わり、オフに戦力外通告を受けて育成契約を結んだ。

“松坂世代”の久保は右手の血流低下、オリ佐野は内野手転向

○宮川将(楽天)
2017:1軍登板なし
通算:43試合5勝1敗1ホールド0セーブ 防御率3.13

 プロ5年目。大体大浪商から大体大を経て2012年の育成ドラフト1位で楽天へ。1年目にファームでの好投を評価されて支配下契約を勝ち取り、1軍でも17試合に登板して2勝をマーク。2年目の2014年に右肘を疲労骨折して手術を受け、オフに支配下から育成に。さらに2015年には右肘のクリーニング手術も受けた。故障も癒えた2016年7月に支配下へ復帰し、1軍でも9試合に登板したが、今季は1軍登板無しに終わり、3度目の育成契約を結ぶことになった。

○久保裕也(楽天)
2017:27試合3勝1敗6ホールド0セーブ 防御率3.60
通算:454試合50勝36敗107ホールド36セーブ 防御率3.51

 プロ15年目を迎えた37歳のベテラン。沖学園高、東海大を経て2002年のドラフト自由獲得枠で巨人に。2015年オフに巨人を構想外となって退団し、DeNAへ移籍。2016年は目立った成績を残せず、1年でDeNAを戦力外となった。12球団合同トライアウトを経て楽天へ入団した今季は3年ぶりの白星をあげるなど、27試合に投げて3勝をマークした。だが、9月に右手の血流低下が判明。リハビリのために育成契約を結ぶことになった。

○石橋良太(楽天)
2017:1軍登板なし
通算:6試合0勝0敗0ホールド0セーブ 防御率13.50

 プロ2年目。明徳義塾高から拓殖大、Hondaを経て、2015年ドラフト5位で楽天に入団。ルーキーイヤーの2016年に1軍で6試合に登板したものの、結果を残すことはできずに、今季は1軍登板無し。支配下契約を解除され、育成選手として再出発することになった。

○入野貴大(楽天)
2017:7試合0勝0敗0ホールド0セーブ 防御率9.73
通算:30試合1勝1敗1ホールド1セーブ 防御率5.79

 プロ3年目。岡豊高や四国アイランドリーグplusの愛媛、徳島を経て、2014年のドラフト5位で楽天に。1年目にいきなり19試合に登板し、プロ初勝利もマーク。だが、2年目以降は出番を減らし、今季も7試合登板にとどまっていた。3年で戦力外通告を受け、育成選手として再契約を結んだ。

○佐野皓大(オリックス)
2017:1軍出場なし
通算:1軍出場なし

 プロ3年目。大分高から2014年のドラフト3位でオリックスへ。プロ3年間で1軍登板はなく、ウエスタンリーグでも目立った成績は残せなかった。来季からは内野手へと転向することに。支配下契約を解除し、育成選手として再契約を結び、出直すこととなった。

(Full-Count編集部)

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