島原の高級食材売り込め

 島原産の高級食材を都市圏に売り込もうと、福岡市のフランス料理店「ブラッスリー ポール・ボキューズ博多」で22~24、26日の4日間、「島原フェア」が開かれた。店の客とともに、島原市内の生産者らもフルコースのメニューを堪能。料理にはジビエ(野生鳥獣肉)のイノシシをメインに豚肉やヒラメ、野菜やメロン、卵など島原産の食材が使われ、質の高さを都会の富裕層にアピールした。

 島原フェアは島原市が年に数回、福岡市の高級レストランなどで実施。同店では今回、連日約50人の客でにぎわった。猪野圭介料理長は「島原は水がきれいで野菜の品質が高い。イノシシは臭みがなく肉質も柔らかい」と太鼓判を押す。

 島原市がジビエをメインに売り込んだのは理由がある。県島原振興局によると島原半島でのイノシシの年間捕獲数は約6千頭(2015年現在)。地元では害獣として処分されるイノシシだが、肉は高タンパクで味が濃く、都会では手に入りにくい高級食材だからだ。現在、市内にはジビエ卸売業者の椿説屋(ちんぜいや)(大分市)が建設した狩猟肉の処理、加工施設「ももんじファクトリー」があり、年間約350頭を加工。施設では臭みを消すための血抜きの方法を狩猟者に指導したり、仕留めてから1時間以内の処理を徹底するなど鮮度や衛生面にこだわっている。

 ジビエ以外でも、市内には農作物などの栽培に工夫を凝らしている生産者は多い。今回、そういった生産者にフェアへの参加を募った動機について、市しまばらブランド営業課の高田順次課長は「手掛けている商品が、都会で一流品として扱われていることを認識してほしかった」と説明する。

 メロンを提供した堀農園(有明町)では温度や湿度、株の葉の枚数まで管理を徹底。堀寿典代表は、同店での食事を終えて「最高の使い方をしてくれた。これなら自信を持って出品できる」と感想を話した。

 しかし、産地間競争の激しい福岡市で高級食材として浸透していくためのハードルは高い。武長道雄・市産業振興専門監は「富裕層の利用する飲食店や百貨店に販路を拡大するためには、今後も信用や実績を少しずつ積み重ねていかなければならない」と話す。

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