東京スカイツリー直下の東京ソラマチで3月、赤松健さん(48)が初めて原画展を開いた。「ラブひな」「魔法先生ネギま!(通称ネギま)」など、美少女ラブコメディーのヒット作を世に送り出してきた漫画家だ。
原画は作品の舞台を模したセットに展示され、赤松さんが漫画を描いている部屋から作業の様子を生中継するブースも。訪れたファンは20~40代くらいの男性が多い。
▽絶版作品電子化も
表現の問題は国内にとどまらない。環太平洋連携協定(TPP)では、被害者の告訴が必要な親告罪の著作権法違反を、告訴なしで摘発可能とすることが検討された。
コミケなどで売られる同人誌には、ファンが好きな作者の作品を基にした「2次創作漫画」も掲載され、それらが捜査対象になる可能性がある。
赤松さんは漫画を始めたころ「美少女戦士セーラームーン」の2次創作を同人誌に描いた。「最初はみんな好きな作品のまねから入るんです。表現の裾野は広ければ広いほど、頂は高くなる。清濁併せのんでいかないと、良いものは生まれてこない」と訴え続けた。
TPP関連法では、営利目的の悪質な著作権侵害行為だけを親告罪から外すことになった。
赤松さんによると、アニメ制作会社の多くは作画や彩色などを韓国や中国の会社に外注し、イラスト投稿サイトで人気ランキング上位に入る外国人も珍しくない。
それでも、日本の漫画やアニメは国際的に人気がある。フランスで開催される、漫画などを紹介する「JAPAN EXPO」の来場者は、2000年の第1回は3200人だったが、昨年は23万人にまで増えた。
「技術で追い付かれても、規制のある韓国から『進撃の巨人』は生まれない。こんなに日本が強い分野は、どこを探してもない」。その原動力は規制が少ないことだと、赤松さんは信じている。(共同=中村岳史)