精神科?神経科?心の調子が悪い時には何科に行けばいい?

精神科や神経科、心療内科など、それぞれの使い分け方を説明。もしものときに困らないための基礎知識を詳しく解説します。

もしも、心の調子があまりにいつもの自分ではなく、「気持ちが冴えない」「物事に集中できない」などの強い症状に気付いたら、病院に行って診てもらおうという気持ちになるかもしれません。実は、自分の心の状態を専門家に診てもらう事は心の病気から回復する為の大きな一歩となります。

心の病気は自分では意外に気付きにくいものです。もしも、自分はうつ病とは無縁であると思い込んでいたら、気持ちが落ち込んでいる自分を責めるばかりで、病院へ行こうという考えは浮かんでこないかもしれません。また、うつ病のなかには、気分の落ち込みがはっきりせず、体の症状が目立つものもあります。また、パニック発作のように、例えば、通勤列車の中で、急に息苦しくなり、胸が締め付けられるような体験をした時、心臓発作ではないかと勘違いしてしまい、まず内科を受診して、そこで検査を受けても何も異常が見つからないので、精神科を紹介されるという場合も少なくありません。

今回は心の調子が悪い事に気付き、いざ専門家に見てもらおうと思った時の基礎知識をわかりやすく解説します。

心の病気の診療科=精神科または神経科

うつ病、パニック障害、統合失調症など心の病気全般を専門とする診療科は精神科または神経科ですが、「心」に関係する言葉である、精神、神経、カウンセリングなどを含む精神科、神経科、神経内科、心療内科、カウンセリング・ルームといった言葉はなかなか紛らわしいかもしれません。以下に違いを分かりやすくまとめてみます。

<精神科・神経科>

うつ病、パニック障害、統合失調症など心の病気全般が専門

<心療内科>

ストレスなど精神的な要因のある体の症状(胃潰瘍、喘息など)が専門

※体の病気≧心の病気 の場合

<神経内科>

神経系の病気(体の麻痺、パーキンソン病など)が専門

※心の病気の診療科であるとお間違えにならないように

<カウンセリング>

心の病気というよりも、心の悩みを相談

心の病気全般を専門とする診療科は、精神科または神経科です。なので、心の調子が悪いと感じたら、精神科または神経科を受診すればOKということになります。

ただ、心の病気と診断するには、まずは体の病気ではない事を確認する必要があります。例えば、気分の落ち込みは甲状腺ホルモンの機能異常でも生じる事があり、こうした場合、気分の落ち込みを治療する為には、内分泌科で甲状腺ホルモンの機能異常に対する治療が必須となります。その為、最初に受診する病院は、いろいろな診療科が揃っている、大学病院、総合病院が望ましいと思います。かかり付けの医師がいる場合はその人に病院を紹介してもらうのも良いと思います。もしも、お知り合いで精神科、神経科、心療内科、または、カウンセリング・ルームなどに通われている人から話がうかがえたら、参考になると思います。最近はインターネットなどで情報を集めてからどこへ行くか決める人も少なくないでしょう。

ところで、心の病気にはその症状が軽い時には、日常生活で見られる心の不調と区別しにくく、正常と病気の間の境界はなかなか明瞭ではなく、心の病気というより、むしろ、心の悩みに近くなってきます。こうした場合、例えば、外国から帰国して、学校に通ってみたら、周囲に溶け込めず、どうしてよいかわからないといった場合には、カウンセリング・ルームでカウンセリングを受けてみるのも良いと思います。ただ、ここで注意すべき事は、カウンセラーは医師ではない為、薬の処方はできませんので、例えば、睡眠薬を処方してくださいと言ってもできない事です。薬物療法は心の病気の治療に不可欠な場合が多いので、心の調子が悪い時は、まずは、精神科または神経科を受診するのが良いと思います。

(文:中嶋 泰憲)

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