金属行人(11月30日付)

 来年4月入社予定の学生について、鉄鋼メーカーなどは先月、内定式を行った。最近、大学のOB会があって学生たちといろいろ話す機会があったが、鉄鋼業に対する興味や関心は残念ながら高くない。企業名でさえ、大手を除いて学生の間に認知されていないと感じる▼一方で、熱意を持って鉄鋼業界に飛び込んできている若手社員の方と話すと、とてもうれしくなる。最近お会いした鉄鋼メーカーの若手エンジニアは「身の回りにある金属の化学反応に興味があった」とのことで「大学では金属材料を研究していた。自動車など最終製品の特性を引き出すのは素材の力が大きいので素材メーカーに興味があった。鉄鋼、アルミ、銅など多くの素材メーカーの中で、特に特殊鋼に引かれたんです」と話してくれた▼別の若手エンジニアからは「鉄は社会基盤に不可欠な材料で、世の中で広く使われている。組織制御の幅が広いのが鉄の魅力であり素材としての面白さ。世の中に役に立つ新商品を創り出したいという思いで高炉メーカーに入社した」との話を伺った。こうした若手技術者の話に元気をもらい、業績含めて回復しつつある日本の鉄鋼メーカーの一段の飛躍を願わずにはいられなくなった。

© 株式会社鉄鋼新聞社