ヨロズの軽量化部品、ホンダ・ルノーが新規採用

 自動車部品大手のヨロズ(本社・横浜市)が開発した軽量化製品が相次ぎ新型車で採用された。

 ホンダが今夏に発売した新型N―BOXでは、従来品より12%軽くし7・5キログラムとしたリヤビームの納入を始めた。2011年にホンダへ世界で初めてテーラードブランク(TWB)でクロスビームとトレーリングアームを一体化したものをさらに軽量化。従来は440メガパスカル級をしていた鋼板を590メガパスカル級へ変え、板厚をクロスビームは2・9ミリ、トレーリングアームは2・6ミリへと各0・3ミリ薄肉化した。「海外拠点にも導入している3500トントランスファープレス機を駆使し、グローバルに供給していく」(志藤健社長)。

 仏ルノーの海外工場からは、溶接を使わず一体成型したバーリングタイプのサスペンションリンクを受注した。従来品は3部品を溶接でつないでいたが、ヨロズは鋼板1枚でリンクを造る技術を適用し15%軽い1・4キログラムへと軽量化を達成。ルノーの次期モデルから納入する予定で、現在量産準備に入っている。

ダイムラー向け、墨で来年から生産

 ヨロズは、ドイツ自動車大手、ダイムラーへのサスペンション部品供給を来年から開始する。

 ダイムラーと日産自動車が折半出資するメキシコ・アグアスカリエンテスの合弁工場、COMPAS(コンパス)で生産されるダイムラー車向けに、ヨロズのメキシコ工場から納入する。ダイムラー向けの供給開始に先立ち、墨工場では厳しい品質・技術要求に応えられるよう大型投資を実施し備えている。

 佐藤和己副会長兼CCOは「ダイムラーのプロジェクトは当社にとり大きなチャレンジ。当初は少量で始まるため、償却負担が重く(ダイムラー向けビジネスの損益は)来年も赤字が続く」と説明。その上で「我々が狙っているのはダイムラーの次のクラス。ダイムラーの溶接や品質保証といった技術はこれまでにないもので、当社が業界ナンバーワンで生き抜くために、正直無理をしてでも取りに行った」と将来を見据えた挑戦であることを強調した。

 ダイムラー向けに開発した部品は「見た目で全然違う、驚かれるようなサスペンション」(佐藤副会長)で、ダイムラー側も高評価しているという。

© 株式会社鉄鋼新聞社