自転車活用さらに広げ 横浜でシンポ

 環境負荷の低減や健康増進などの面から注目されている自転車の利用促進を考えるシンポジウム(国土交通省横浜国道事務所、神奈川新聞社主催)が30日、横浜市西区で開かれた。自転車を生かした地域活性化や安全対策を進める県内自治体の先進事例を基に今後の可能性が論じられ、一層の環境整備が必要との方向性が共有された。

 基調講演を行った元女子バレーボール日本代表の益子直美さんは、藤沢市内で夫とサイクルショップを営む。現役時代に痛めた足腰に負荷のかからないサイクリングに魅了され、「自分でペースを決められる。何歳になっても、何歳からでも楽しめる」と強調。一方で「必ずヘルメットなどを着け、マナーも守るよう心掛けている」と事故防止策の大切さを訴えた。

 多発する事故を受け、自転車レーンの整備や小中学生対象の自転車保険などに力を入れる大和市の大木哲市長は「日常的な利用の目線で考えている」と説明。点在する観光名所を巡る手段として自転車に着目している大磯町の中崎久雄町長は「近隣自治体との連携」による取り組みの拡大に意欲を示した。

 横浜市からは、昨年策定した自転車総合計画に基づいた施策が紹介され、懸案だった放置自転車については「改善したが、解決はしていない」として一層の駐輪場対策を講じる方針が示された。

 県サイクリング協会の斎藤文夫名誉会長も交えた討論も行われた。斎藤名誉会長は「自転車大国」オランダを引き合いに「自転車はエコで安心安全な乗り物。日本も自転車先進国になってほしい」と期待を寄せた。

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