伊藤忠丸紅住商テクノスチール、ベトナム鋼材流通に出資 住商から株式譲り受け

 伊藤忠丸紅住商テクノスチール(社長・中野次郎氏)は30日、ベトナムの鋼材流通加工会社「SMCサミット」(本社・ホーチミン市)に出資したと発表した。親会社の住友商事が保有していた株式45%を譲り受けた。現地の日系ゼネコン向けに、異形棒鋼など鉄筋を中心とした建材の拡販を図っていく。

 SMCサミットは2012年2月、同国鋼材流通最大手のSMCトレーディング・インベストメント(会長・グエン・ティ・ンゴック・ロアン氏)と住商の合弁会社として設立。ホーチミン市を中心に、鉄筋などの鉄鋼建材製品の販売と加工を手掛けている。従業員は21人。鉄筋切断機や曲げ機を備える加工場を有する。また同国では初となる日本式機械継手製品を都市鉄道向けに納入した。

 サミット社への直近の出資比率はSMCが50%、住商が45%、ベトナム住友商事が5%。資本金は400万ドル(約4億5千万円)で、テクノはこのうち住商分を、伊藤忠丸紅鉄鋼シンガポール会社がベトナム住商分をそれぞれ承継する。

 テクノは16年1月の統合発足以降、伊藤忠丸紅鉄鋼と住商の国内鉄鋼建材部門として業容拡大を図ってきた。同社は既に台湾とフィリピンに進出しているが、経済発展が目覚ましく建設需要も上伸基調にあるベトナムでも海外事業を広げる足掛かりとする構えだ。

 ベトナム経済は、一層の市場経済化と海外直接投資の順調な増加を受け、GDP成長率は安定して5~6%程度で推移している。またインフラ整備を含め、国内建設投資も拡大が見込まれるという。

 既にSMCサミットにはテクノから社員2人を出向させており、今後も親会社の伊藤忠丸紅鉄鋼や住商との連携を図り、ベトナムでの建材需要を捕捉していくとしている。

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