育てた木材、五輪選手村の建物に

 秦野市立北小学校の6年生約120人が1日、同校の背後の丹沢・菜の花台周辺の「学校林」で、市森林組合によるヒノキの伐採作業を見学した。同校の校舎用の材木にするため、90年余り前の1923(大正12)年に2万7千本のヒノキや杉が植えられ、児童らが下草刈りやつる切りなどをして育ててきた。木造校舎用の需要がなくなり、今回伐採したヒノキは2020年東京五輪・パラリンピックの選手村の建物の一部に使われる。

 学校から1時間余りかけて山を登った児童らは、森林組合職員から説明を受けた後、ヤビツ峠に続く県道沿いの学校林斜面に移動。直径26〜30センチ、高さ25メートル程度にまで見事に育ったヒノキが何本も立ち並ぶ斜面で作業を見守った。

 同森林組合の作業員坂東浩二さん(41)、長谷川理恵さん(28)らがてきぱきと準備。組合職員が児童に「倒したい方向にチェーンソーで『受け口』という切れ目を入れ、反対側から『追い口』という切れ込みを入れていく」と手順を説明。坂東さんが早速チェーンソーで受け口を切り、反対側から追い口の切れ込みを入れていくと。数分でヒノキが音を立てて斜面下方に倒れていった。

 隣接する木の枝にぶつかりばさばさという音を立てて倒れるヒノキの迫力に児童らは思わず「うわー」「すごい」と声を上げ、拍手を送った。見学した山口颯夏(そな)さんらは「枝がばさばさしてすごかった」「(ヒノキの)いいにおいがした」と興奮気味に話した。児童らは昼食を挟み、もっと細いヒノキをのこぎりで切る体験なども行った。

 市は、この日伐採したヒノキ2本を含め150〜160本分に当たるヒノキ10立方メートルを切り出して、五輪選手村の建物用に提供する。終了後、市に返却され学校のベンチやテーブルとして有効活用するという。

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