新江ノ島水族館の人気ショー25日まで

 藤沢市片瀬海岸の新江ノ島水族館で好評を博してきた特別企画「ナイトワンダーアクアリウム」が今月25日を最後に見納めとなる。2014年に始まった企画は、水族館としては世界で初めて「3Dプロジェクションマッピング投影」という特殊な視覚映像演出を採用し反響を呼んだ。来年は企画を一新する予定の同水族館は「最終章は江の島のクリスマスがテーマ。ぜひゆっくり楽しんで」と来場を呼び掛けている。◆クリスマステーマ、来年一新 午後5時すぎ。同館メインの相模湾大水槽では、幻想的なショーが繰り広げられていた。真っ暗な会場にデジタル映像と照明が映し出され、高さ9メートルの巨大水槽では魚たちが泳ぎ回る。約5分の上映が終了すると、集まった親子連れから自然と拍手が湧いた。

 同企画は開館10周年企画として始まったが、同館広報室の高井純一さんは「逆転の発想から生まれた」と明かす。

 11年3月に東京電力福島第1原発事故が発生。電力供給不足が見込まれたため、同館は、館内500カ所以上の照明を発光ダイオード(LED)に変更したが、大規模な節電目的の対策が思わぬ効果を生んだ。

 「それまで使用していた水銀灯などと異なり、瞬時に照明の切り替えが可能になった。LEDのレーザー光線も演出に適していた」と高井さん。節電対策を逆手に取ったショー開催の企画が持ち上がった。

 14年7月、LEDの光と3Dプロジェクションマッピングを取り入れた映像演出のショーをクラゲファンタジーホールでスタート。それに続き、夜の水族館を楽しむ特別企画「ナイトアクアリウム」も始めた。

 当時、3Dプロジェクションマッピングは目新しく、水族館での採用は前例がなかった。当初は「生き物たちに光が当たって害がないだろうか」という不安もあったが、照明の照度や方向を調整するなどの工夫を重ね、実現させた。

 生き物とデジタル技術が融合したショーは大きな話題を呼び、14年は、企画開催中の約4カ月間、夜のイベントだけで約30万人が訪れた。

 現在では全国の多くの水族館で同様の手法を取り入れるようになったため、新江ノ島水族館は来年以降、新しい企画に挑戦する。同館は「2018年以降も、さまざまな試みを通して、水族館の魅力を発信していければ」と話している。

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