川崎市 全中学校で完全給食

 川崎市中部と北部の各学校給食センター(中原区、麻生区)が1日、稼働をスタートし、市立中学全52校での完全給食の実施が実現した。市内産野菜を使ったり、若者世代に人気の味付けがされていたりといった献立で、生徒らは笑顔で食事を楽しんだ。関係者からは都市農業への理解促進を期待する声も上がった。

 中部では14校に10〜50分、北部では12校に15〜55分で配送する。自校内で調理する4校は今年1月から、南部センター(幸区)で調理する22校は9月からスタートしていた。

 中部センターから運ばれる今井中(中原区今井仲町)には福田紀彦市長や渡辺直美教育長が視察に訪問。2013年の市長選で公約に掲げていた福田市長は「川崎市立中にとって歴史的な一日。4年という短期間で、多く人の協力により実現できた」とあいさつし、「中学校給食は(他自治体と比べ)後発だったが、全国モデルとなるような食育を進めたい」と意気込んだ。

 JAセレサ川崎の原修一組合長は「子どもたちに地場産の味を堪能してもらい、都市農業の応援団になってほしい」、同校の川崎靖弘校長も「大人も含め、孤食などが課題になっている。多感な時期の生徒が食を共有することは意義深い」と述べた。

 この日の献立は、牛乳、麦ごはん、タンドリーチキン、野菜ソテーに加え、市内産のニンジンやキャベツを使ったポトフ。4時間目終了後、係の生徒が1階に食缶を取りに行き、教室で皿によそった。取り分け中、スープが足りなくなる事態もあったが、生徒同士で譲りながら分け合った。

 食事前には、代表の生徒が「タンドリーチキンは鶏肉をカレー粉、スパイス、ヨーグルトなどで作ったタレに漬け込み、オーブンで焼き上げます」と料理の説明文を読み上げた。3年生の渡辺愛真(えま)さん(14)は「ポトフが温かくておいしい。ゼロ歳の妹がいるので母も助かっていると思う」と話した。

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