【私鉄に乗ろう 31】 信楽高原鐵道信楽線 その1

※この「私鉄に乗ろう」の写真は、筆者がプライベートで旅行して撮影したものです。鉄道会社さんから許可をいただいていませんので、乗車券があれば誰でも入れる場所からの手持ち撮影・スナップ写真です。ポケットに入るコンパクト・デジタルカメラで撮影しています。

滋賀県内の鉄道路線で唯一の非電化路線です

1933年(昭和8年)に国鉄信楽線として貴生川駅〜信楽駅間14.8kmが開業しました。1943年(昭和23年)には不急不要線として休止、戦後の1947年(昭和22年)に運行が再開されました。1981年(昭和56年)に特定地方交通線第一次廃止対象として廃止が承認、1987年(昭和62年)国鉄分割民営化でJR西日本に継承されますが7月にJR信楽線は廃止されます。同時に第三セクターの信楽高原鐵道が開業しました。

1991年(平成3年)には小野谷信号場を開設されJR西日本京都駅・大阪駅直通の臨時快速の運行が始まりました。それまで信楽高原鐵道信楽線には列車交換のできる設備が無かったのです。しかし同年5月に信楽で「世界陶芸祭」が開催され大量の乗客を運んでいた際に、小野谷信号場付近でJR西日本の臨時快速と正面衝突事故を起こし42名死亡という大惨事になりました。12月には運行が再開されましたが、小野谷信号場は使用が停止され、信号場開設以前の貴生川駅〜信楽駅間全線を一閉塞のスタフ閉塞に戻され、現在に至っています。

その後、2013年(平成25年)に鉄道事業再構築実施計画によって上下分離方式に移行。信楽高原鐵道が第二種鉄道事業者となり甲賀市が第三種鉄道事業者として線路・車両などの鉄道施設を保有しています。

さて 貴生川駅から信楽に向かいます

JR西日本草津線で貴生川駅に来ました。これから乗る信楽高原鐵道はこの駅が始点、近江鉄道はこの駅が終点です。草津線の草津・京都方面に乗ってきたので降りた島式ホーム3番線の反対側が信楽高原鐵道のホームになっています。

信楽高原鐵道の駅名標、左にJR西日本草津線の113系電車が写っています。その向こうが草津線の1番ホーム、2番線はホームの無い中線でのりば番号としては欠番なのです。

信楽高原鐵道SKR400形気動車401号車。400形は2015年(平成27年)に1両だけ製造されました。信楽高原鐵道としてはSKR310形302号車(2002年/平成14年)以来13年ぶりの新車です。

貴生川駅を出ると、しばらくJR西日本草津線と並走しますが、離れて行きます。

貴生川駅を出て田園風景をしばらく走ると勾配区間に入ります。

最初の紫香楽宮跡駅まで9.6km、最大33パーミルの勾配を登ってゆきます。旧国鉄の蒸気機関車時代はタイヘンだったでしょうね。しかも、この区間が信楽高原鐵道信楽線全線14.7kmのうちの9.6kmですから、実に全線の65%を占めています。現在はディーゼルカーで15分もかかりませんが、蒸気機関車の時代は数倍の時間がかかったのではないでしょうか。

これからしばらく勾配区間の沿線を写しています。山深く緑が美しいですよ。

本当に、延々と登ってゆきます。ようこそ信楽へ!

ほとんど最初の踏切、踏切の道を右に山を登ると桃山時代から信仰を集める庚申山広徳寺があります。漏電で焼失した本堂が2017年夏に復元されています。

小野谷信号場の手前です。貴生川駅から約6kmで標高差は171m、実際は貴生川駅からしばらくは平坦な土地を走るので33パーミルはマジです。5kmで171m登ったら34パーミルですよ!

小野谷信号場は1991年(平成3年)の事故からは使用停止です。列車交換のレールは錆びています。この先で1991年(平成3年)の悲惨な事故が起きました。

まだまだ、登ってゆきます。

新名神高速道路の下をくぐります。

鉄橋の下は、ほぼ信楽高原鐵道と並行して走る近江グリーンロード(国道307号線)です。

しかし、新名神高速道路、建築技術というのか、美しいですね。

新名神高速道路の下を過ぎると信楽の盆地に入って平坦な場所を走ります。じきに最初の紫香楽宮跡駅が見えてきました。療養所踏切とあるのは、昭和16年(1941年)滋賀県立結核療養所として創設され、昭和22年(1947年)以降は国立療養所紫香楽園となった現・国立病院機構 紫香楽病院がすぐ近くにあるからです。

単式1面1線ホームです。聖武天皇が天平17年(745年)に遷都した紫香楽宮跡があります。何でこの様な山の中に遷都したのか?と思いますが、今から1200年以上前は、奈良も京都の周囲もこの様な木々に囲まれた場所だったのでしょう。

紫香楽宮跡の駅名標です。

ここまでで信楽高原鐵道信楽線の65%を走ってきてしまいました。終点の信楽駅まではあと駅が4つです。【私鉄に乗ろう 31】 信楽高原鐵道信楽線 その2 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)

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