九州新幹線 長崎県「全線フル」主張へ FGT断念で方針転換

 九州新幹線長崎ルートへのフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)導入が困難になっている問題で、県が「全線フル規格化しか選択肢はない」と与党に伝えることが27日、関係者への取材で分かった。これまではFGTを前提に認可着工された経緯から慎重だったが、JR九州の導入断念や沿線自治体の意見などを踏まえ、方針転換する。

 28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの検討委員会で中村法道知事が表明する。ただ、財政負担が大幅に増す佐賀県の反発は必至。与党検討委が8月にも示す整備方針が注目される。

 国は暫定開業時、在来線特急と新幹線を乗り換えるリレー方式を採用予定。だが関西圏との直通による交流人口拡大効果が期待できず、開業に向けて沿線自治体が進めるまちづくりへの影響、民間の投資意欲の減退が懸念される。県はこうした要素を総合的に勘案し、国のFGT開発を「これ以上待てない」と判断。与党検討委にFGT以外の検討を求め、「全線フル規格化しか選択肢はない」と伝えるとみられる。

 FGTを巡っては技術開発が難航し、国土交通省は14日、2022年度の暫定開業時の先行車導入、25年度の量産車による全面開業のいずれも年単位で遅れる見通しを示した。さらに運行主体のJR九州が25日、導入断念を表明。リレー方式が長期化する恐れも出ている。

© 株式会社長崎新聞社